株価の割安さを測る指標のひとつに、「株価純資産倍率=PBR」があります。会社の資産面からみて株価が割安かどうかを判断する指標であり、銘柄分析の際によく用いられる指標のひとつです。ただし、単純にその値だけで判断するのは危険だと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。それはなぜか、詳しくみていきましょう。
その株価、本当に割安…?銘柄選びで重要な「PBR」の注意点【投資のプロが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

PBRをみるときの注意点②…純資産が減らない傾向にあるかに注目

もう1点、PBRに関連して確認した方がよいことがあります。

 

それは、その会社が毎年順調に利益を積み重ね、純資産が減らない傾向にあるか否か、です。

 

たとえば、株価1,000円、1株当たり純資産1,000円の会社を買ったとしましょう。PBRは1倍です。

 

その後1年でその会社が利益を上げて純資産を増やし、1株当たり純資産が1,100円になったとします。すると、その時点で株価が買値の1,000円と考えるならば、PBRは0.91倍に下がります。そして市場がこれを安いと判断したならば、株価が高くなる公算は大きいでしょう。

 

一方、その後1年で赤字を出し純資産を減らし、1株当たり純資産が900円になったとします。同様に、その時点での株価が買値の1,000円と考えると、PBRは1.11倍に上がってしまいます。そして市場がこれを高いと判断したならば、株価が安くなる公算は大きいでしょう。

 

利益額ほど大きく変動しない傾向にある資産額ですが、このように、まったく変動しないわけではありません。そして純資産が減る傾向にある会社は、いくらPBRが低い状態で買っても、決して割安とは考えられない可能性もあります。

 

まとめ…PBRという数字の奥にある実態を捉える努力を

PBR1倍がひとつの目安となっており、1倍以下なら株価が割安だとよくいわれます。

 

しかしPBRが低い銘柄でも、貸借対照表をみてその資産の内容にも注目しておくことが望ましいです。

 

また、純資産が減る傾向にある会社は、いくらPBRが低い状態で買っても、決して割安とは考えられない可能性もあります。

 

PBRという数字の奥にある実態を捉える努力も、必要だといえるのです。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓