マイホームを実現するとき、ほとんどの人が利用する住宅ローン。余裕ある返済を考えるなら、年収に占める年間返済額の割合である返済負担率は20%程度にするのが良しとされています。それでもローンを抱える子育て世帯は出費がかさみ、家計は火の車ということも珍しくありません。その典型的パターンをみていきましょう。
月収62万円の40代・勝ち組サラリーマン…余裕の「駅チカ・マンション暮らし」が一転、破綻寸前に追い込まれた理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

40代勝ち組サラリーマン「五輪前にマンションを買ってよかった」

「東京23区の新築分譲マンションの平均価格が1億円を超えた」と、大きな話題になりました。これは不動産経済研究所が公表した、3月の首都圏新築分譲マンション市場動向によるもの。「都内のマンションは億万長者でないと買えないのか……」というのは早合点で、これは供給数が少なかったうえに億ションの大量供給が重なったため。しかし建築資材や人件費の高騰などで、マンション価格が上昇傾向にあるのは間違いありません。

 

同研究所によると、2022年、首都圏の1戸当たり平均価格は6,907万円で前年比8.6%アップ。平米単価は103万9,000円で前年比9.0%アップ。11年連続の上昇だといいます。さらに東京23区の単価はバブル期超えと、「給与が上がらないといっているのに、なぜマンション価格ばかり上がるのか」と誰もが疑問に思うほど。すでに一般庶民には「都内のマンションは高嶺の花」といったところでしょうか。

 

そんななか、「マンション、買っておいてよかった!」と投稿するのは、現在40代半ばだという会社員。いまから4年ほど前、東京23区・駅チカの新築マンションを購入したといいます。現在、男性は手取り月45万円ほどで、夫婦と子ども2人の4人暮らし。当時のマンション価格は6,800万円ほどでしたが、現在、同エリア・同水準の新築マンションは2~3割増しほどになっているのだとか。

 

当時「東京五輪が終わればマンション価格は下落に転じるから、今は購入を待ったほうがいい」などという専門家の声もあったものの、男性は「自分にとっていまが買い時」と決断したといいます。

 

手取りから逆算すると、男性の月収は62万円ほど。厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、同年代の月収の中央値は大卒で37万9,400円。男性は上位10%に位置すると考えられ、平均的な賞与を手にしていると仮定すると、年収は1,000万円に届くか届かないかという水準。明らかな勝ち組です。

 

そんな男性は、5,000万円・25年の住宅ローンを活用してマンションを購入したとか。返済方式は元利均等、金利は0.5%と仮定すると、月々の返済額は17万7,334円。返済負担率は21%程度となり、比較的余裕のあるマネープランだといえそうです。