マイホームを実現するとき、ほとんどの人が利用する住宅ローン。余裕ある返済を考えるなら、年収に占める年間返済額の割合である返済負担率は20%程度にするのが良しとされています。それでもローンを抱える子育て世帯は出費がかさみ、家計は火の車ということも珍しくありません。その典型的パターンをみていきましょう。
月収62万円の40代・勝ち組サラリーマン…余裕の「駅チカ・マンション暮らし」が一転、破綻寸前に追い込まれた理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

膨れ上がる「子どもの学習塾費用」が家計を圧迫…夫婦片働き→共働きに

23区・駅チカのマンション暮らし、給与は同世代の上位10%に入る勝ち組……誰もが羨む限りですが、実は家計破綻寸前だったと振り返ります。その主な原因が子どもの「学習塾費用」。

 

元々子どもの進路については「公立小学校→公立中学校→公立高校→大学は私立でも(できれば国公立)」と軽く考えていたといいますが、引っ越した地区は教育熱が高く「中学受験は当たり前」という環境。周囲に触発され「じゃあ我が子も……」と2人の子どもを学習塾に通わせるようになったといいます。

 

文部科各省『令和3年度 子供の学習費調査』によると、公立小学校に通う児童の「学校外活動費」は年間24万7,582円。そのうち学習塾を含む「補助学習費」は12万0,499円。月々1万円ほどというのが平均値です。また学習塾費の支出額の分布をみていくと、公立小学校の場合「0円が61.1%」。つまり全国的に「塾に通っていない児童」が6割で多数派です。

 

一方、塾に通う公立小学生の学習塾費の分布をみていくと、月2万円以下が75%。多くが普段の学習の補助的な意味合いで通塾をしていると考えられます。一方、年間90万円以上、月々7万5,000円以上の出費になっている家庭も、塾通い世帯の4%を占めています。男性の場合もこの4%に含まれ、特に上の子はスタートが遅かったからと費用はかさみがち。通常の月謝に加えて、夏と冬の講習会、さらに塾での学習を補完するために個別指導もプラス……出費はどんどん増えていきます。

 

――もう、私の収入だけではムリ!

 

このままでは家計が破綻すると、専業主婦だった妻は、パートに出るようになったとか。物価高もあり、何かと節約を心がけたり家計を見直したりしたいところですが、子どもの教育費にメスは入れづらいもの。また中学受験を無事クリアした後も、(公立中高一貫校などの手もありますが)私立中学校→私立高校→私立大学という進路を歩んでいけば、当初の想定よりも多くの出費を覚悟しなければなりません。

 

「子どもへの教育は一番の投資」と男性。そのあたりの覚悟は既にできているようで、夫婦共働きで頑張ると意気込んでいます。