(※写真はイメージです/PIXTA)

 「首や腰などの骨をポキッと鳴らす」「夜眠るときはうつぶせ寝」など、無意識にいつも続けている癖や習慣。しかしなかには、毎日続けていると健康リスクを高める習慣もあると、横浜町田関節脊椎病院の越宗幸一郎先生は警告します。具体的にどのような行為に危険があるのか、専門医である越宗先生が解説します。

無意識にやってしまいがちな「体に悪い習慣」

「関節をポキッと鳴らす」以外にも、毎日意識せずに行っている習慣や癖が体に悪影響をおよぼしていることもあります。一体、どんな行為がよくないのか、代表的なものを挙げてみます。

 

柔らかいソファやクッションに長時間座る

柔らかいクッションやソファにどさっと身を沈めるととても気持ちいいですよね。しかし、あまりに柔らかすぎるクッションに沈み込むのは、背中や腰などのアライメントを崩す原因になり、生理的な彎曲が失われ、腰痛などを引き起こしやすいのです。

 

とくに少し動いただけで体が沈み込んだり、姿勢が崩れやすくて骨盤が後傾しやすかったりするクッションは要注意。「このソファに座るのはリラックスタイムだけ」と決めて、短時間であれば問題ありませんが、長時間、柔らかすぎるソファに座るのは控えるようにしましょう。

 

うつ伏せ寝・「寝ながらスマホ」「寝ながら読書」

次に注意したいのは、うつ伏せ寝です。仰向けでは寝られないという人もいるでしょうが、うつ伏せで寝ると、呼吸をするために顔を左右どちらかに向けることになり、首に負担をかけやすくなってしまいます。

 

また、うつ伏せの状態でスマホを操作したり、本を読んだりすることも危険です。重たい頭を持ち上げて支えようとすると、肩や首に大きな負担がかかります。特に、うつむく角度が深いほど首には負荷がかかることになり、やがて首や肩が痛む原因になります。「寝ながらスマホ」「寝ながら読書」は極力控えるようにしましょう。

 

それだけでなく、スマホを使うときに首が前に突き出ている人も注意が必要です。スマホの画面を覗き込むような姿勢を続けていると、首の前側にある胸鎖乳突筋が引っ張られた状態になります。

 

[図表2]スマホ首

 

この姿勢は、首のこり、頭痛、めまいなどを起こすだけでなく、首のしわ、顔のたるみを引き起こしたり、重症化するとうつや精神疾患などの深刻な状態を招いたりすることもあります。

 

現代人の約8割が発症しているといわれるスマホ首を改善するには、スマホを目の高さに持ち上げたり、使うときは椅子にもたれかかったりするといいとされています。早速習慣にしてみましょう。

 

左右どちらかに負担が掛かる姿勢

足を組むのが癖という人も多いと思います。必ずしも足を組むことが悪いわけではないのですが、気をつけたいのが、「いつも右足(あるいは左足)を上にしている」という状態。常に同じ側の足を組んでいると、骨盤や背骨が歪んだり、体のめぐりが悪くなったりします。「足を組むなら、両足を交互に」ということを意識しましょう。

 

同じように、「いつも右肩(あるいは左肩)にカバンをかける」「いつも右の歯(あるいは左の歯)で噛んでいる」というように、体の左右どちらかしか使っていない場合も注意が必要です。

 

全身に歪みやアンバランスが生じることがありますし、脊椎(背骨)や骨盤が歪むと背骨の近くを走っている自律神経のバランスも崩れ、自律神経失調症を起こすリスクが高まります。「左を使ったら、次は右」というような意識を忘れないようにしましょう。

 

股関節や膝に負担が掛かる和式の生活

最後に、和式の生活は腰や膝に負担をかけやすいことも忘れてはいけません。たとえば、布団から立ち上がる動作や布団に入る動作は、股関節や膝を深く曲げなければいけませんから、どうしても関節に負荷がかかりやすくなります。

 

畳の上で正座をしたりするのも同様です。 将来的な腰痛や膝痛のリスクを軽減するため、できれば早いうちに洋式の生活に切り替えることをおすすめします。

 

普段無意識に行っている習慣が、知らず知らずのうちに健康に対するリスクになっているケースもあります。習慣を改善するには、相応の時間が必要になりますが、少しずつでも意識を変えることで、体は確実に変わっていきます。

 

まずはいつもの癖が出たとき、「あっ、また音を鳴らしているな」「また、スマホ首になっているな」など、自分に気づくことが大事。そして、「気づいたらやめる」を繰り返すと、そのうち癖が消えていくと思います。大事なのは意識づけ。ぜひ今日から始めてみましょう。

 

 

横浜町田関節脊椎病院

越宗 幸一郎

 

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