晩婚化などを理由に「子どものいない夫婦」が増加傾向にあります。子どもがいない場合、たとえば老後において介護が必要になったらどうするか、などの不安がありますが、早くにパートナーを失くした時にその後の生活はどうなるのか、という不安もあるでしょう。万が一のときに手にできる「お金の話」みていきましょう。
「子のない夫婦」を襲う悲劇…52歳・大卒夫の死後、49歳・キャリアなしの妻が手にする「唖然の遺族年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

子もなく、キャリアもなく…子のいない妻の不安

同じように、この年代の女性には「非正規社員としてのキャリアしかない」というケースも多く、大きな不安を抱えています。

 

――夫に何かあったら、どうやって生きていけばいいのか

 

SNSでそんな不安を吐露するのは、49歳の女性。3歳年上の夫とは結婚20年ほど。子どもはいないそう。大学を卒業したものの就職活動に失敗。これまでパート・アルバイトの経験しかないといいます。結婚以来、夫の収入に全面的に頼る生活をしてきたので、夫に万が一のことがあった場合に「就職してひとりで生きていく」というイメージが描けないといいます。

 

一家の大黒柱が亡くなったとき、残された遺族が困窮しないよう「遺族年金」が支給されます。遺族年金には、大きく、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と厚生年金に由来する「遺族厚生年金」があります。

 

しかし遺族基礎年金は18歳未満、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子どもを支えることを目的としていて、受給対象者は子どものいる配偶者か子ども。つまり子どものいない夫婦の場合は対象にはなりません。

 

遺族厚生年金は、以下①~⑥で最も優先順位の高い人が受け取ることができます。子どものいない夫婦で会社員だったパートナーを亡くしたとき、遺族年金受給の対象となります。

 

【優先順位“高”】

・子のいる妻

・子(18歳になった年度の3月31日までにある子、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある子)

・子のいる55歳以上の夫(受給開始は60歳。ただし遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても受給できる)

 

【優先順位“中”①】

・子のない妻(子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給)

・子のない55歳以上の夫

 

【優先順位“中”②】

・55歳以上の父母(受給開始は60歳から)

 

【優先順位“中”③】

孫(18歳になった年度の3月31日までにある孫、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある孫)

 

【優先順位“低”】

55歳以上の祖父母(受給開始は60歳から)

 

※子のいる妻または子のいる55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されない