結婚年齢が上昇するなか、さまざまなライフステージの年齢も上昇。マイホームの実現年齢も大きく上昇し、いまや年金生活に突入しても住宅ローンを抱えていることも珍しくないといえます。それでも年金受給が始まる65歳までにはローン完済を目指したい……と多くの人が考えるでしょう。実際に繰上返済をした場合の効果を確認していきます。
40歳・年収800万円、5,000万円の住宅ローンに「老後破産」の危機…打開策「繰上返済」で歓喜する、利息削減額 (※写真はイメージです/PIXTA)

40歳サラリーマン…65歳完済を目指し繰上返済をしたら

こうしてみていくと、40歳で32年ローンは長すぎる、という結論に達します。では65歳で完済できるよう、25年ローンとなるとマネープランはどうなるのでしょうか。前出の条件と同様に考えていくと、利息分は346万7,266円と、100万円ほどダウン。ただ月々の返済は19万2,124円と月4万円ほどアップ。(世帯)年収に占めるローン返済である返済負担率は21.3%から26.8%と5ポイントほど上昇します。

 

ある程度、余裕の返済プランを考えるなら返済負担率は20%程度が望ましいといわれているなか、26%では結構な負担を感じるものと推測され、長い期間、ローン返済に負われることを鑑みると、あまり賢い選択ではないかもしれません。

 

では繰上返済、という選択はどうでしょうか。借入条件は前出と同様とし、5年に1度、繰上返済をするとします。

 

首都圏、世帯年収800万円世帯の1ヵ月の黒字率は39.7%(総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)より)。貯蓄にまわせる金額の2割ほどを繰上返済にまわすことを想定すると、1回あたり300万円ほど。そうすると、完済となるのは25年と半年後。利息分は345万7,048円となり、32年返済時に比べて100万円ほどうく計算になります。

 

――思わず小さくガッツポーズ!

 

しかし、繰上返済に際して考えなければいけないのが手数料。金融機関によって無料~数万円程度と違いはありますが、手数料が発生するにも関わらず何回にも分けて繰上返済するのは得策ではありません。それらを含めて繰上返済のタイミングを検討することが大切です。

 

ちなみに今回、繰上返済で回数を減らしましたが、返済回数は減らさずに月々の返済額を減らしていくという方法もあります。諸々の条件等は前出の通りに返済額を変えていくと、5年目以降は14万2,782円、10年目以降は13万0,780円、15年目以降は11万5,437円と確実に減っていき、20年目以降は9万3,969円と、最終的に10万円を割り込みます。

 

利息額は回数を減らした時と比べて50万円ほど高いものの、繰上返済による利息額の圧縮効果は期待できます。また回数が変わる返済プランに比べて、手元に資金を残しながらの返済となり、このほうが安心できるという人も。自身の考え方に一番マッチする方法を選択し、住宅ローンによる老後破産を回避していきましょう。