40歳のサラリーマン「72歳まで住宅ローン返済」で起きる最悪の事態
新築マンションの価格が上昇の一途と話題になっています。戸建てに関しては地域によって土地価格の状況は異なるので一概にはいえませんが、上物に関しては建築資材や人件費の上昇で高くなっているので、マンションと同様と考えられるでしょう。
国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』によると、一軒家を建てた人(一次取得/世帯主)の平均年齢は40.0歳、世帯年収は816万円(三大都市圏/一次取得)。購入資金(土地+建物)は、首都圏で7,050万円で、そのうち借入金は5,417万円。返済期間は32年でした。
平均値通りでマイホームを実現した場合のマネープランをみていきましょう。返済方式は元利均等、金利は0.5%と仮定すると、利息分は446万0,157円と、ちょっといい車が1台買えるくらい。また月々の返済は15万2,683万円となります。
そこで考えたいのが、完済となる年齢。平均値通りだと、40歳でマイホームを実現して、72歳までローン返済が続くということになります。
現在、60歳で定年を迎えたのち、再雇用などの制度を利用して65歳くらいまで働き続ける人が増加。原則、年金支給は65歳からですから、そこで現役を続けるか、それとも完全引退となるかを迫られますが、大きな区切りとして年金生活に入るパターンが多いようです。そうなると、およそ7年間ほど、年金生活でありながら、ローンも返済していくということになります。
厚生労働省によると、厚生年金受給者の平均年金額は月14万円程度。65歳以上男性に限ると月17万円、女性だと10万円程度。共働き夫婦であれば、月27万円程度を手にする計算です。無職の高齢者夫婦の平均消費支出は22万~23万円程度といわれているので、天引き額を考えると、ギリギリ年金だけで生活ができる、ということになります。
このように考えていくと、月15万円ほどのローンは「貯蓄を取り崩しながら払っていく」ということになります。年金生活者にとって貯蓄は、年金だけでは足りない生活費の補填であったり、万が一のことが起きた時の保険のようなものであったりと、意味合いは人それぞれ。ただ共通しているのは、収入が限
られるなかでは、いかに減少スピードを抑えるかがカギだということです。
そこで月15万円もの住宅ローンを貯蓄から払っていけば……その家計は非常にもろくなり、最悪の場合は老後破綻、という事態の現実味が増していきます。