老人ホームに入れません!入居を待ち望む高齢者たち
高齢化とともに進む、核家族化。それに伴い、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」、認知症を発症している高齢者が認知症の高齢者を介護する「認認介護」が、今後、ますます増えるといわれています。
――家族には苦労をかけたくない
そう考える人も多いでしょう。そうなると、介護施設への入居、というのがひとつの選択肢となります。ひとくちに介護施設といっても、種類はさまざま。公的介護保険の施設サービスであれば、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、 介護療養型医療施設、介護医療院の4つがあり、要介護と認定された人は施設サービス費用を原則1割負担します。またサービス付き高齢者向け住宅など、公的介護保険の施設サービス対象外の施設を選択するのも手。一般的には民営施設のほうが費用負担は大きくなります。
総務省が行った調査によると、介護施設からの月々の請求額は平均12万円程度、その他の個人的な出費が月々2万円程度でした。この調査は調査票の回収数が少なかったことに留意する必要はありますが、介護施設への入居については、入居一時金を除き、月14万円程度が目安と考えられるでしょう(ちなみに入居一時金の平均額は260万円程度でした)。
また厚生労働省によると、厚生年金受給者の年金受給額は月14万円程度、65歳以上男性に限ると月17万円。また厚生労働省の試算では、一般的な夫婦の年金は月22万円ほどだといいます。年金からの天引き額を考えると、民間施設への入居であれば「年金プラスα」がひとつの目安。貯蓄が心許ないのであれば公的施設への入居を検討することになるでしょう。
ただし問題は、お金のことだけではありません。昨今、問題視されているのが「介護難民」。介護サービスを必要としているにも関わらず、受けることができずにいる人が増えているのです。2015年の少々古いレポートではありますが、2025年、東京都心での介護難民は約13万人ほどになるといわれていました。特にコストの安い特別養護老人ホームは入居待ちの要介護者が数万人単位でいるといわれており、75歳以上の高齢者が急増する今後は、入居待ちがさらに増えるとされています。
また介護の担い手が増えないというのも大きな問題。負担は大きいわりに低賃金という介護業界。国も是正を図ろうと対策を講じているものの、高齢者が増えていくスピードに追いついていない状況です。
――どんなに費用が高い施設でもいい
そんなお金持ちであれば問題ないでしょうが、一般庶民にはコスト面で限界があります。老人ホームに入りたくても入れない……高齢者夫婦が介護に翻弄され共倒れとなる、そんな未来が現実になるかもしれません。