夫婦で年金を合わせると……そんなシミュレーションをすると、結構な額となり「年金だけでも生きていけそう」と思えるもの。しかしパートナーが亡くなったとき、当然、年金は減額に。そのとき、どれほどの年金を手にできるか、きちんと考えておくことが重要です。みていきましょう。
夫婦合わせて23万円だったが…70歳・専業主婦「夫亡き後の年金額」に余裕も「まさかの顛末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

自営業の夫×専業主婦…夫が先立った時の妻の悲惨

「会社員の夫」×「専業主婦」のパターンであれば、パートナーとの別れは「お金」という部分ではそれほど問題はないかもしれません。

 

それに比べて心配ないのが「自営業の夫」×「専業主婦」というパターン。そもそも夫婦の年金は、お互い国民年金が満額支給でも12.8万円。そして夫が亡くなったとき、夫が会社員のパターンと違い、遺族年金はゼロ。

 

遺族基礎年金の受給対象者は、「子のある配偶者」または「子」。その子どもは、「18歳になった年度の3月31日までにある」、または「20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある」という要件があります。65歳以上であれば、子どもがこの条件を満たしていることはほぼないでしょう。そうなると、妻が手にできる年金は、月6.4万円だけとなります。

 

前述のとおり、東京23区の生活扶助基準額は7万4,220円。住居費を除いて、生きていくのに、これだけは必要という金額です。それをも下回るわけですから、少々心許ないでしょう。

 

実際に老後を迎えた時、現状の制度のままとは限りませんが、ある程度は想定して、「年金だけでは足りない分」について備えておきたいものです。

 

現在30代とか、40代であれば、年金を手にするまで20~30年ほどと時間がありますから、計画的な資産運用を考えておきたいもの。毎月の給与から定額の貯蓄、NISAなどを活用した積立投資など。退職金をあてにする人もいるでしょうが、勤めている会社が倒産など、万が一のことが起きないとも限りません。退職金をあてにしない資産形成を心がけておくといいでしょう。

 

すでに50代。老後が目の前まで差し迫っている人はどうでしょうか。ねんきん定期便などで、手にできる年金の見込み額を把握できているでしょう。不足分をしっかりとシミュレーションし、場合によっては定年後も働くということが視野に入ってきます。

 

また生活のサイズダウンも計画的に実行したいもの。役職定年→役職なしとなるときに3割減、定年退職→再雇用のときに3割減、完全現役引退→年金生活で3割減と、収入は減少するといわれています。一度上がった生活水準を、いきなり下げるのは難しいもの。収入減とそのタイミングを見据えて、ライフスタイルの見直しを図ることが重要です。

 

すでに年金生活に突入、貯蓄も心許ない……できることは、働き続けるの一択。法改正により、高齢者でも働く環境が整いつつありますから、健康でいる間はお金に不安があろうがなかろうが、働くというのもひとつの生き方。また年金受給前であれば繰下げ受給を選択し、年金を増やすというのも一手。75歳まで受給を繰り下げれば、65歳で手にする年金の1.84倍に。もちろんいつまで健康でいられるのか、いつまで生きられるか、少々ギャンブル的な部分もあり、「絶対おすすめ!」とはいえませんが、選択肢の1つとして覚えておきたい方法です。