人の命を救う「最新の医療機器」は、医師にとって必要不可欠ですが、小児科領域では他の診療科と比べて医療機器の開発が「圧倒的に遅れている」と、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進医師は警鐘を鳴らします。“国の未来を担う子どもたち”を救う医療機器が開発されない“大人の事情”とはいったいなんなのか、具体的な事例を交えて秋谷医師が解説します。
「子どもの命」は後回し…?小児科だけ“医療機器の開発”が遅れる「大人の事情」【小児科医が警鐘】 (※写真はイメージです/PIXTA)

小児科領域の「医療機器の開発問題」…だれが、どう対応すべきか

医学の発展は単なるビジネスの問題ではなく、収益性が理由となり開発が遅れるのは本来あってはならないことです。

 

しかし、収益が出ないと企業は存続できないため、収益が込めない領域に注力することはできません。そこで以下のような対策が必要になります。

 

現場で医療に関わる医師や医療従事者から工業製品を製作するメーカーに働きかける

まずは「現場でのニーズを伝えること」が重要です。メーカーとしても現場でニーズがあるかどうかの把握が難しい場合もあるため、現場でどのような製品が求められるかについての情報が必要です。

 

医学の進歩と共に得られる情報をもとに、どのような医療機器が必要なのかをメーカーに伝えて医師主導で開発を進めていくことが、医療機器を開発する上で必要なプロセスとなっています。

 

国からの助成金などで収益を確保する

現場のニーズがあるとわかっても開発費用を捻出することが難しい場合があります。収益性の高い領域であれば企業も研究費を出し易いのですが、難しい領域もあります。

 

医師や新しい治療を望む患者・患者家族が国や自治体に働きかけ、必要な分野に補助をするように働きかけを行うことも非常に重要です。

 

患者やその家族はまずどのような治療を望んでいるのかを医師に伝えることが第一歩となります。そうして生まれたニーズによって医学は発展していくのです。

 

 

秋谷 進

東京西徳洲会病院小児医療センター

小児科医