本記事では、慶應義塾普通部、東京海洋大学、早稲田大学等で非常勤講師をしながら「海外教育」の研究を続ける、本柳とみ子氏の著書『日本人教師が見たオーストラリアの学校 コアラの国の教育レシピ』より一部を抜粋・再編集し、教育先進国である「オーストラリア」の教育現場について、日本と比較しながら紹介していきます。
学校のPTA「最低1回は役員をやる」「会合は日中」に“違和感”…「教育先進国」オーストラリアの制度と比較すると (※写真はイメージです/PIXTA)

高校生も参加…意思決定機関としての「学校審議会」

学校の意思決定機関として学校審議会(School Council)が設置されることがある。

 

すべての学校に設置されているわけではないが、自律的学校経営を行う学校には設置されることが多い。P&Cと同じく、教師、保護者、地域住民で構成されるが、時に生徒が参加することもある。高校生ぐらいになれば意思決定に参加することは十分可能だ。

 

教育の主体である生徒の声を学校経営に反映させることは、民主的であるだけでなく、教育的効果も大きいのではないかと思う。

 

学校審議会は学校コミュニティの代表機関であり、予算の検討、教育目標や指導ポリシーの検討、カリキュラムへの助言、教職員の採用、生徒のウェルビーイング(心身ともに健全な状態)、学校施設の活用など審議の範囲は広い。

 

地域社会との連携を深め、学校コミュニティの協働性を高めることも重要な役割だ。

 

 

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教育学博士
本柳 とみ子


公立中学校で26年間教鞭をとったあと、大学院で海外の教育について研究を始める。その後、慶應義塾普通部、東京海洋大学、早稲田大学等で非常勤講師をしながら研究を続ける。2012年、早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)