5―まとめ
さて、ここまで論じてきた通り、筆者は昨今の迷惑行為の動画による炎上は、非常識な悪ノリや内輪ネタからエンターテインメント性を見出している場合、親密圏のコミュニティが現実社会のみならずSNS上でも地続きであるが故に、そのノリがSNS上でも行われてしまう事が大きな要因であると考える。
また、炎上した迷惑行為は氷山の一角であり、投稿されなかったり、撮影されていない迷惑行為も多々あり、普段からそのようなノリで楽しんでいるからこそ、何かの拍子でそれ等が外にリークして炎上につながっているのだと考える。このような炎上により有名になるコトや悪いことをすることがかっこいいという価値観を擁している者もおり、自分ならばもっと面白い(迷惑)行為ができると投稿し、立て続けに模倣犯が現れるのもお決まりとなっている。
確かに2012~2013年のバイトテロという言葉が生まれたころに比べて、SNSやインターネットリテラシーはより重要なモノであると認識されているし、SNSネイティブの若者も多く存在し、SNSに慣れ親しむ世代であるのは間違いない。
しかし、利用歴が長い事やネイティブであるという事だけではリテラシーは身につかない。筆者が初めてインターネットに触れた頃は個人情報はもちろんのこと、ネット上に顔を晒してはいけないと言われたものだが、SNSの普及に伴いむしろ顔を出すこと自体が普通となり、自身が映った写真や動画がネットに漂い続けるリスクに対する認識も大きく変化している。友達と残す思い出も、その思い出が迷惑行為ならば、残した思い出自体が自身が迷惑行為をしたということの証拠そのものになるわけであり、そのような認識を含めてネットリテラシーについて他人事ではないという意識を持つことが大事だろう。
また、自分が仲がいいと意識して引いた境界線でSNSを使用していても、インターネットは常にオープンな場所であるという認識を持つことも大事だろう。
なお、このレポートを読んで迷惑行為はばれないように行えば問題にはならない、というように誤って解釈した者がいても困るので、本レポートの目的は「なぜ迷惑行為が表ざたになるのか」その構造を考察しているにすぎない、という事を念のため付け加えたい。