平均で語られることの多い、会社員の給与。そのたびに「中央値はもっと低いだろ」という声があがります。実際はどうなのでしょか。みていきましょう。
月収37万円・50代会社員「給与=サラリーマンのちょうど真ん中」に安堵も、65歳で手にする残念な「年金額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「平均的なサラリーマン」と「ちょうど真ん中のサラリーマン」…その後

――サラリーマンの給与、平均値は高いけど……よかった、自分はちょうど真ん中だ

 

そう安堵した人は多いのではないでしょうか。平均的なサラリーマンと、ちょうど真ん中のサラリーマン。定年後、手にする年金についてもみていきましょう。

 

20歳から60歳定年まで働き、賞与はサラリーマンの平均値である3..01ヵ月分とすると、平均的なサラリーマンの生涯年収は2億円に到達しますが、ちょうど真ん中のサラリーマンは1.8億円ほど。厚生年金額を求める際の平均標準報酬額は平均値では41万円となり、中央値では38万円。平均的なサラリーマンが手にする厚生年金は月8.9万円ほどとなり、国民年金と合わせると月15.4万円。一方、ちょうど真ん中のサラリーマンが手にする厚生年金は月8.3万円ほどで、国民年金と合わせると14.7万円。その差、月に7,000円、1年で8.4万円にもなります。

 

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、65歳以上の単身男性の1ヵ月の消費支出は14万8,918円。税金や保険料も加味すると、年金は月17万円ほどあれば……といったところですが、平均的なサラリーマンだろうと、ちょうど真ん中のサラリーマンであろうと、老後、暮らしていくには年金だけでは足りず、貯蓄を取り崩して生きていく、という現実は変わりません。

 

ただ収入を得る手段が限られる老後で「月7,000円」の年金格差は、実に大きいものです。「ちょうど真ん中」の安心感は、老後の安心感には繋がることはないようです。