勝負は「勝つ」か「負ける」か、確立は1/2。これは投資の世界においても同じです。そのようななか、投資で儲けがでた場合、「この勝ちはまぐれではないか?」と疑うべきだと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。それはなぜか、みていきましょう。
投資の世界で「自信」はもたないほうがいい…賢い投資家が「自分の勝ちを徹底的に疑う」ワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

まぐれで勝ち続けられる確率は?

単なる偶然だけを考え、1回のトレードで勝つ確率を1/2、負ける確率を1/2と仮定しましょう。

 

ではその場合、2回連続で勝つ確率はどうなるでしょうか。

 

これは、1/2×1/2で、1/4になります。

 

続いて、3回連続では、1/2×1/2×1/2で、1/8です。

 

そしてこれを一般化すると、「n回連続で勝つ確率は、1/2のn乗」となります。

 

ですから5回連続で勝つ確率は、1/2の5乗で、1/32になります。また、10回連続で勝つ確率は、1/2の10乗で、1/1,024、20回連続ですと、1/2の20乗で1/1,048,576になります。

 

このように考えると、数回程度であれば、単なる偶然によって連続して勝つ人は決して珍しくないということが、おわかりではないでしょうか。

まぐれ勝ちしている人はこれだけいる!

とはいえ、1、2回連続でトレードを成功させたからといって、自信満々になる人は少ないはずです。

 

しかし、それが3回、4回と続くと、自信を深めていく人も多いでしょう。前述の計算上も、単なる偶然が長くは続きにくいということがわかりますし、それも無理のないことでしょう。

 

しかし、珍しいながらも、非常に運の良い人、運の良い状況(相場全体の動向など)というのも存在するものでして、前述の計算によれば、以下のように考えることもできます。

 

● 32人に1人は、単なる偶然で5回連続トレードに勝つ

● 1,024人に1人は、単なる偶然で10回連続トレードに勝つ

● 104万8,576人に1人は、単なる偶然で20回連続トレードに勝つ

 

日本証券業協会の調査によれば、2020年末の時点で日本には、約1,400万人の個人投資家がいるそうです。

 

そうすると、そのなかから、単なる偶然で10回連続トレードに勝つ人は、1万4,000人近くいることになりますし、単なる偶然で20回連続トレードに勝つ人さえ十数人いることになります。

 

まぐれ勝ちしている人、そして、その人たちが用いてまぐれ勝ちした手法というのが、その程度存在し得るということを、忘れないようにしましょう。

 

有名な投資家、権威ある投資家が、実はまぐれで勝ち続けているという可能性も、否定はできないのです。