株式投資に必要不可欠な「教養」とはなにか
まずは便宜的に、「教養」という言葉の意味を定義してみましょう。
ここでは教養を、「さまざまな分野にわたる知識の蓄積であり、物事に対する理解力や判断力、その個人の文化的豊かさや品性、創造力などを形成するもの」と考えていきたいと思います。
なおこれは、一般的イメージから決して離れているものではないでしょう。要するに、「直接役に立つかどうかはわかりにくいが、間接的にはとても役に立つ様々な知識の集合」が「教養」ということです。
財布に入っているお金が個々の知識であり、金融機関にある流動資産や不動産などの固定資産が教養、といってもよいかもしれません。一見その価値は見えにくいけれど、とても重要な存在であるのが、教養なのです。
「教養」は株式投資でどう役立つか
たとえば、プロ並みではなくても工学や技術に関する知識が一定以上あれば、ある会社の製品の凄さや、逆に平凡さに、報道以上に敏感に感じ取れます。
また、人間社会の原理や歴史に詳しければ、ある会社のマネジメントがいかに優れているか、または逆に、その危うさに気がついたり、政治の動きから、過去の歴史と照らし合わせて市場全体の動向を予想できたりします。
そのほか、数字や数学に強ければ、財務諸表を十分に理解してその会社を正確に評価でき、確率論を用いて的確な売買も可能でしょう。
さらに哲学や思想、人間心理、脳科学などに通じていれば、自分を知り、自分をコントロールし、感情に流された売買をして失敗するリスクを減らすことができます。
お金ですべてが買えるわけではないし、お金には怖さもありますので、教養を持つことで、株式投資をしながらもお金と適切に付き合えるようになり、本当の意味で幸福な人生を過ごせるかもしれません。反対に、教養を身につけずに投資にハマると、結果的にお金に振り回される人生を過ごすはめになってしまう危険性もあります。
もちろん、株式投資に際しては、投資そのものの知識や、経済、金融などに関する知識を持つことがもっとも大切です。
しかし、その他さまざまな知識を豊富に得て教養を持つことで、より高度な判断ができるようになるでしょう。教養を身につけることは、株式投資にも大切なことなのです。