育児はなぜつらく感じるのでしょうか。ニッセイ基礎研究所の乾愛氏が、自治体の乳幼児健診で取得した育児中の保護者への質問紙調査のデータを統計学的分析し、紐解いていきます。
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7―まとめ
本稿では、自治体の乳幼児健診で取得した育児中の保護者への質問紙調査のデータを、統計学的分析した。
その結果、育児の状況として、完全母乳が5割強、子どもとの同室就寝が9割強を占めており、また、育児協力者がいる者は9割強であるにも関わらず、育児中の睡眠時間が最短2時間であるなど育児中の母親の健康状態に影響を及ぼしかねない実態が明らかとなった。
また、対児感情尺度の結果をみると、全体的に「育児への肯定感」が最も高いものの、「育児への束縛による負担感」と、「育て方への不安感」のピークとボリュームゾーンが、「子どもの態度や行為への負担感」よりも高いことが明らかとなった。
育児のしんどさとは、子どもの特性に起因するものよりも、保育者側の育児による束縛感や不安感が強く影響していることが示唆された。