恐ろしい…ほとんどの医師が見逃す「睡眠時無呼吸症候群」の意外な影響【専門医が解説】

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恐ろしい…ほとんどの医師が見逃す「睡眠時無呼吸症候群」の意外な影響【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

潜在患者数はおよそ20人に1人(男性に限ってはおよそ11人に1人)といわれる「睡眠時無呼吸症候群」。家族や友人から「いびきがうるさい」と指摘されても、「いびきなんて誰でもかくものだ」と、気にしていない人も少なくありません。しかし「睡眠時無呼吸症候群」を放置した結果、命にも危険がおよぶ場合があると、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長はいいます。詳しくみていきましょう。

「睡眠時無呼吸症候群」と重篤な疾患との関わり

ここ数年、メディアでも耳にすることが多くなった「睡眠時無呼吸症候群」。2003年2月に起きた「JR山陽新幹線居眠り運転事故」の原因がこの睡眠時無呼吸症候群にあったことから、一気に注目されるようになりました。そして実は、睡眠時無呼吸症候群は不整脈をはじめ、重篤な疾患と深い関わりがあるのです。

 

「睡眠時無呼吸症候群」とは?

「睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)」とは、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。“ゴゴゴ”という大きないびきをかいたと思ったら、突然、呼吸が止まって静かになり、再びゴゴゴといういびきをかきはじめる特徴があります。

 

家族から「いびきがうるさい」と指摘されても、「いびきなんて、誰でもかくものだ」と気にしない人もいるでしょう。しかし、いびきをかくということは、そもそも空気の通り道(気道)が狭くなっているということ。気道の狭窄がひどいと空気の流れが速くなり、それによって気道の粘膜などが振動します。この音が、いびきの正体です。

 

気道が狭窄することで息が吸いにくくなってしまうと、低酸素状態になってしまいます。実は、この「低酸素状態」が健康に重大な害をもたらすのです。

 

[図表1]「正常な気道」と「閉鎖した気道」

 

睡眠時無呼吸症候群の特徴は、いびきといびきのあいだに空白の時間(=呼吸が止まっている時間)があるということです。

 

医学的にいうと、睡眠時無呼吸症候群は「10秒以上呼吸が止まる無呼吸や、呼吸が弱くなる低呼吸が、1時間あたり5回以上繰り返される状態」と定義されます。

 

不整脈や心不全の原因になることも

睡眠時無呼吸症候群は、別の疾患を合併することにより命の危険にさらされることもあります。

 

たとえば、睡眠時無呼吸症候群によって合併する症状のひとつでもある高血圧です。睡眠中、無呼吸の状態から呼吸が再開すると、身体は寝ていても脳は覚醒反応を起こし、起きた状態になります。

 

そのため、自律神経が乱れて副交感神経から交感神経へスイッチが切り替わり、血圧が上昇してしまうのです。やがては動脈硬化や狭心症、心筋梗塞など重篤な疾患を招くこともあり、突然死のリスクとなります。

 

また、こうした自律神経の乱れは不整脈も引き起こします。特に、睡眠時無呼吸症候群と深い関わりを持つ不整脈は「心房細動」です。

 

「睡眠時無呼吸症候群」が心房細動の原因になるワケ

「心房細動」とは、心房と呼ばれる心臓内の小部屋が小刻みに震えて痙攣し、正常に機能しなくなってしまう病気です。なぜ、睡眠時無呼吸症候群が心房細動の原因になるかというと、原因は2つあります。

 

1つ目が、先ほどお話しした「自律神経」の問題です。自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に優位になると、心拍数は上昇し、心臓内の電気的興奮が起こりやすくなってしまいます。

 

2つ目は、「心臓への負担」です。睡眠時無呼吸症候群によって低酸素の状態が続くと、心臓は酸素を取り込むため急激に心拍数を上げます。そのため、心臓の負担が増えて心房細動が起こりやすくなるのです。

 

研究によれば、睡眠時無呼吸症候群の人はそうでない人と比較して、心房細動の罹患率が3〜5倍高くなることがわかっています。また逆に、心房細動の患者のうち、30〜80%が睡眠時無呼吸症候群を合併しているとされています
※ 東京ハートリズムクリニック「睡眠時無呼吸症候群」

 

[図表2]正常な心臓と、心房細動の心臓

 

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