
Bくんは無事難関中学に合格、しかし…
孫のBくんはその後2年間の猛勉強の末、目標としていた有名私立中学への合格を果たしました。長女もAさんも本人以上に大喜びで、一家をあげてお祝いパーティです。
ところがそのお祝いの最中、Aさんは長女がどこか浮かない顔をしていることに気づきました。「どうしたんだい? こんなにめでたい席なのに」Aさんがこっそり聞くと、長女は言いにくそうに打ち明けました。「お父さん、これから入学費用や高校の費用、大学の費用を考えたらと思うと不安なのよ……」
1,000万円の教育資金を提供していたAさんは「あのお金があるから大丈夫じゃないか」と返しましたが、長女の顔はますます浮かない顔になっていきます。
その後、詳しく話を聞くと、「教育資金贈与信託」の残高がすでに300万円ほどになっていことがわかりました。どうしてそんなことになってしまったのでしょうか。
1,000万円あげたのに…残高は「特別講座」で300万円に
Bくんの合格までの道のりは、決して平坦なものではありませんでした。成績が伸び悩む時期と、想定以上に伸びる時期があったのです。
成績が伸び悩んでいるときには、塾の先生に「まだまだ大丈夫です。春休み特別講座を受講すれば必ずまた成績は伸びます」と言われ、逆に成績が上り調子のときは「さすがBくん、さらに高みの〇△中学も夢ではありません。〇△中学用の特別講座を受講すれば、もっと合格が近づきますよ」と言われます。
長女はBくんの可能性を信じ、その時々の言葉をすべて鵜呑みにしました。結果的に、塾代は雪だるま式にかさんでいったのです。
中学受験が終わった段階のBくんはまだ12歳。これから約10年の学校生活が続きます。長女が浮かない顔になるのも無理のないことです。Aさんもまさかそんなに塾代がかかっていたとは露知らず、「いろいろ大変だと思うけど、私もできる限りのことはするから、なんとかなるよ」と優しく声をかけましたが、内心穏やかではありません。