生活困窮者の増加とともに、自己破産件数も増えています。その自己破産、4分の1は高齢者だといいます。なぜ高齢者は破産という結末を迎えてしまうのか。そこには高齢者を取り巻く厳しい実情がありました。みていきましょう。
月収12万円・73歳の非正規男性、死ぬまで働く覚悟も老後破産「もう、生きていけない」と最悪の結末を意識して (※写真はイメージです/PIXTA)

2022年、7万件を超える自己破産件数。推定1/4が高齢者

終わりの見えない物価高で生活を直撃。多くの人が生活苦に陥っています。

 

裁判所『司法統計』によると2022年の自己破産件数は70,306件。2021年は68,240件、2020年は71,678件、2019年は73,095件、2018年は73,084件でした。物価高も要因だったかもしれませんが、減少傾向にあった自己破産件数が昨年は再び上昇しました。

 

*各月速報値を合算したもの。最終的な数値は別途公表予定

 

日本弁護士連合会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、破産理由で最も多いのが「生活苦・低所得」で61%。「病気・医療費」23%、「負債の返済(保証以外)」20%、「失業・転職」17.5%と続きます。

 

【破産理由、上位10】

生活苦・低所得:61.69%

病気・医療費:23.31%

負債の返済(保証以外):20.48%

失業・転職:17.58%

事業資金:16.13%

生活用品の購入:14.76%

浪費・遊興費:11.37%

教育資金:9.84%

給料の減少:9.60%

保証債務:9.44%

 

出所:日本弁護士連合会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』

※破産理由はひとつと限らないので合計すると100%を超える

 

また破産者を年齢別にみていくと、最も多いのが40代。一方、60代と70代を合わせると25%超。自己破産という結末を迎えた人の4人に1人は高齢者、という状況です。

 

【破産者の年齢】

20歳未満:0%

20歳代:9.92%

30歳代:15.89%

40歳代:26.94%

50歳代:21.45%

60歳代:16.37%

70歳代以上:9.35%

 

出所:日本弁護士連合会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』

 

高齢者の生活の基盤となるのは公的年金。厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金受給者の平均年金額は月14万5,665円、手取りにすると11.6万円ほどです。一方、厚生労働省が毎年算定する生活費である最低生活費を確認すると、東京都23区の場合、12万7,920円(生活扶助基準額7万4,220円、住宅扶助基準額5万3,700円)。平均値の年金では、生きていけない、ということになります。