遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者もしくは被保険者であった人が死亡した際、死亡した人や遺族が要件を満たしている場合に受給できる年金のことです。遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類にわかれていますが、それぞれ受給条件が異なるといいます。本記事ではひと回り年上の夫を亡くしたSさんの事例とともに、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が遺族厚生年金の受給条件について解説します。
新婚早々の悲劇…手取り38万円・38歳商社マンの夫の急逝で受給する「遺族厚生年金」、26歳妻愕然「たった5年だけ!?」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

年の差12歳の夫婦、結婚半年で夫が急逝

パートで働く26歳のSさんは、半年前に38歳の商社勤務の夫と結婚。12歳の年の差カップルです。夫婦2人とも子供が好きですが、1年間は2人で新婚生活を楽しく過ごそうとライフプランを考えていた矢先、夫が心筋梗塞で倒れ、亡くなりました。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

夫の急逝にSさんは、悲しみに暮れ、仕事も休んでいます。そんななか、Sさんのこれからの生活を心配していた友人が遺族年金の話をしてくれたので、近くの年金事務所に相談にいきました。遺族年金は家計を支える人が亡くなったとき、一定の要件を満たした遺族へ支給されます。

 

亡くなった人が会社員・公務員など、厚生年金保険の被保険者であった場合は、遺族厚生年金が最も優先順位の高い人に支給されます。Sさんの夫の年金加入記録は、20歳から国民年金に加入、学生時代は夫の両親が国民年金保険料を納付していたと書いてあります。卒業後は商社に入社、亡くなるまで厚生年金保険に加入していました。

 

・年金加入履歴・国民年金第1号被保険者期間:2年(24月)

・厚生年金保険(国民年金第2号被保険者)期間:16年(192月)

 

しかし、子供がいない26歳のSさんに待ち受けていたのは、遺族厚生年金が「5年間」の期間限定受給だったのです。

 

国民年金の納付が3年以下の場合、「死亡一時金」は出ない

死亡一時金は国民年金第1号被保険者の保険料納付期間が3年(36月)以上ある人が亡くなったとき、遺族である配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番で、死亡したときに生計を同じくしていた人が受け取ることができます(死亡一時金の金額は保険料納付月数によって異なります)。

 

国民年金の保険料を3年以上納めた人が、年金を受け取らずに亡くなり、遺族基礎年金が受け取れないときに支給されます。ただし、寡婦年金の要件を満たしていた場合は寡婦年金と死亡一時金はどちらか一方を選択します。Sさんの夫の場合、学生期間の国民年金保険料の納付は2年(24月)のため、死亡一時金も受給できません。