自営業者は第1号被保険者にあたる
日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の人は国民年金に必ず加入しなければなりません。国民年金の被保険者の種類は、職業などによって3つのグループにわかれています。
第2号被保険者:会社員、公務員等で厚生年金保険に加入している人
第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者
2021(令和3)年度の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」をみると、2021年度末現在で国民年金の第1号被保険者数(任意加入被保険者を含む)は、1,431万人、厚生年金被保険者数(第1~4号)は、4,535万人、第3号被保険者数は、763万人となっています。
高齢期に終身で受け取れる公的年金は、長生きリスクに備える保険として働けなくなった場合の頼れる収入です。年金は職業や加入期間等によって受け取れる額が違います。今回は、自営業者の年金にスポットをあてて解説します。
自営業者には「上乗せ」年金がなく、多額の自助努力が必要
自営業者は国民年金第1号被保険者に該当し、20歳~60歳までの40年間すべて保険料を納付し、高齢期(原則65歳)に受け取れる老齢基礎年金(国民年金)は、満額で777,800(月64,816)円(2022年度額)です。夫婦2人で満額の老齢基礎年金を受け取る場合、月額129,632円(64,816×2)となります。
しかし、夫婦2人の老後の最低日常生活費は月額23.2万円、ゆとりある老後生活費は月額37.9万円という調査結果※からすると、最低日常生活を送るには、月額約10万円の生活費が不足することになります。ゆとりある生活には月額約25万円不足するため、自営業者の人が高齢期を過ごすには、公的年金で賄うことができずに多額の自助努力が必要となります。
※2022(令和4)年度生活保障に関する調査(速報版)より
会社員や公務員等の人であれば、上乗せの老齢厚生年金(厚生年金保険)があるため、夫婦2人で受け取れる年金額は月219,593円(日本年金機構2022年度年金額より)となり、生活費を少し節約することで、日々の生活を夫婦の年金のみでクリアすることも可能かもしれません。しかしながら自営業者の人には上乗せ部分がないため、自営業者の年金は会社員や公務員等に比べ、公的年金は少ないのが現状です。