国が描く、バラ色の未来は本当に訪れるのか?
公的年金に関しては、5年に1度、「財政検証」が行われています。これは、その時点の人口や経済の動向を踏まえたうえで、将来、どれくらいの保険料が入り、どれだけの給付ができるか、再計算をするもの。直近の財政検証は2019年に行われました。
その結果をみてみると、経済成長と労働参加が進むケースから、経済成長と労働参加が進まないケースまで、6つのシミュレーションがなされています。
それによると、2043年~2047年にかけて、厚生年金の所得代替率は50~52%とされています。所得代替率というのは、…公的年金の給付水準を示す指標で、現役男子の平均手取り収入額に対する年金額の比率を表したもの。
2019年度は、(夫婦2人の基礎年金13.0万円+夫の厚生年金9.0万円)÷現役男子の平均手取り収入額35.7万円=所得代替率61.7%。これだけみても、年金は2割目減りすることが前提とされています。おひとり様サラリーマンであれば実質月11万円、夫婦であれば実質月17万円程度というわけです。
さらに経済成長と労働参加が進まないケースである「ケースⅥ」の場合、「機械的に給付水準調整を進めると2052年度に国民年金の積立金がなくなり完全賦課方式に移行。 その後、保険料と国庫負担で賄うことができる給付水準は、所得代替率38%~36%程度」という注意書きがされています。つまり夫婦の年金は月22万円→月13万円、おひとり様のサラリーマンであれば月14万円→月8万円ということになります。
これは最悪のケース、かつ単純計算。実際の財政検証はもっと複雑で、さまざまなことを考慮しています。実際に夫婦で月13万円になるわけではないので、これを前提に考えるのは早計です。しかし「国の検証は、少々甘いのでは……」と疑いたくなるのも無理はありません。
先日、2022年の出生数が80万人を割ったと大きな話題になりました。これは予想よりも10年も早く少子化が進んでいることが明らかになったから。少子高齢化は加速度的に進み、問題は一段と深刻化しています。
——年金は1円ももらえない
こんなことも想定して、老後に備えたほうが安心かもしれません。