インフレにより物価高が続くなか、資産の目減りを防ぎ、その価値が上昇しやすい「不動産」への投資に注目が集まっています。なかでも、比較的少額から始められる「ワンルームマンション投資」は初心者でも始めやすいと人気ですが、都心部でのマンション経営はそう簡単ではありません。本記事では、マンション投資を始めた世帯年収1,100万円のパワーカップルの事例とともに、1級FPの川淵ゆかり氏がリスクを軽んじて投資を始めることへの危険性について解説します。
世帯年収1,000万円のパワーカップル、意気揚々と始めた「マンション投資」がたった3年で赤字転落“こんなはずではなかった”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

新型コロナだけのせいじゃない…マンション投資はやはり難易度が高い

(※画像はイメージです/PIXTA)
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Aさんは将来のためにワンルームマンション経営を始めたようですが、かなり苦戦しているようです。マンション経営には大きなコストがかかります。賃貸管理会社への費用、固定資産税、修繕積立金のほか、入退去時のクリーニングに原状回復や宣伝費用も必要です。修繕積立金も修繕工事のときに不足すればまとまった支払いが請求されることもあります。Aさんのように途中での家賃の改定も当たり前ですから、収支の予測は難しいものがあります。

 

さらにローン完了後の家賃収入での生活を夢見る人も多いようですが、35年も経ってしまったお部屋だと大規模な修繕が必要で、専有部にまとまった資金をかける必要が出てきます。

 

また、ローンを利用してマンション経営を始めると、ローンには利息もかかりますから、本来はこの利息の分も含めてリターンを計算しないといけません。Aさんは3,000万円を借りましたが、これには500万円以上の利息の支払いが発生します。なお、4,000万円フルローンで借りた場合の利息は700万円以上となってしまいます。

 

都心部でもなかなか難しいマンション投資。人口減少が進む日本では、都心部以外や地方となるとさらに難しくなってきます。

 

 

川淵 ゆかり

川淵ゆかり事務所

代表