インフレにより物価高が続くなか、資産の目減りを防ぎ、その価値が上昇しやすい「不動産」への投資に注目が集まっています。なかでも、比較的少額から始められる「ワンルームマンション投資」は初心者でも始めやすいと人気ですが、都心部でのマンション経営はそう簡単ではありません。本記事では、マンション投資を始めた世帯年収1,100万円のパワーカップルの事例とともに、1級FPの川淵ゆかり氏がリスクを軽んじて投資を始めることへの危険性について解説します。
世帯年収1,000万円のパワーカップル、意気揚々と始めた「マンション投資」がたった3年で赤字転落“こんなはずではなかった”【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

目指せ、悠々自適!ワンルームマンション投資計画 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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賃貸でやはり怖いのは空き室になってしまうことです。空き室率を抑えるため、セミナー講師のアドバイスに従い、Aさんは都心部の新築マンションを選びました。一人暮らしのサラリーマンを想定し、駅に近い25㎡で約4,000万円の物件を探し出し、毎月12万円で貸し出すことにしました。

 

実質利回りは、(家賃収入-管理会社手数料)÷ 物件価格 で求めることができ(セミナーで講師が説明)、Aさんの場合は、約3.3%となり、妻とも「まぁまぁいいね」と納得できるものでした。

 

Aさんは、ほかに借り入れもなかったので、フルローンで購入することも可能でしたが、毎月の受取額も増えるため、1,000万円を頭金とし、残り3,000万円をローンで購入することに決めました。3,000万円の住宅ローンの返済計画は次のとおりです。

 

借入額:3,000万円 変動金利型(ボーナス返済なし)35年ローン 

毎月返済額:約85,000円 (総返済額:約3500万円) 

 

Aさんは、ローンや経費を支払っても毎月約25,000円を受け取れる計算になります。

あれ?こんなはずでは…まさかの赤字マンション経営

(※画像はイメージです/PIXTA)
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Aさんの所有した部屋はすぐに入居が決まり、当初から順調に家賃収入を得ることができました。しかし、初年度から困ったことが発生します。固定資産税が結構な負担になることです。Aさんのマンションの場所は、都心のいい場所なので、固定資産税もそれなりの額になります。

 

そして、マンション投資から3年目に新型コロナウィルスが発生します。Aさんのワンルームに住んでいたサラリーマンは、勤め先が新型コロナの影響で収入が減ってしまった、との理由で退去してしまったのです。すぐにほかの入居者を探しましたが、すでに新築から3年が経過しており、10万円を超える家賃を払ってくれる入居者もなかなか見つからず、Aさんは家賃を下げざるを得なくなってしまいました。

 

「おいおい、まだ3年目だよ。住宅ローンもあと32年も残っているよ。物件も慎重に選んだはずなのに……。やっぱり新型コロナのせいかなぁ……」

 

「近頃のニュースでは変動金利型ローンの金利はもう上がらないだろう、と思い込んでしまい、よく考えずに変動金利型でローンを組んでしまいました。ニュースで住宅ローンの金利の話題もよく聞くようになり、これ以上の負担だと赤字になってしまいます」

 

思い切った投資であるため「やはり投資の失敗は投資で返上しなくては」という思いもあり、あとには引けなくなってしまいました。Aさんは頭を抱えています。