住宅購入を検討する人が多い30~40代。憧れのマイホーム購入時には夢が膨らむものですが、「まだ先のこと」と老後のことまでイメージできずに購入を決断してしまうことも。本記事では、世帯年収1,000万円の30代夫婦の事例とともに、長岡FP事務所代表の長岡理知氏が住宅購入時に考えておくべきことについて解説します。
年収1,000万円の30代共働き夫婦「狭小住宅購入」で待ち受ける“悲惨な老後”【FPの助言】 (※画像はイメージです/PIXTA)

老後からはまだ遠い30代でも夫婦で話し合っておきたい「老後の生き方」

(※画像はイメージです/PIXTA)
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リタイアしたあとのことを考えると、海外旅行や趣味のことなど、楽しいレジャーのことを想像する人は多いでしょう。もちろんそれを実現するために、貯蓄や投資のモチベーションにする側面はあります。

 

しかし老後生活の半分は、健康ではない状態として過ごす時間です。いわゆる健康寿命が尽きたあとで、どう過ごせるかが人生の最後の豊かさともいえます。旅行に行けるような体力、体調でなかったとしても自宅を中心としてどう快適に暮らしていけるのか、夫婦で何度も話し合うべきです。

 

介護を受けながらどう生活をしたいのか、どう自尊心を保つのか、若いうちに話し合うことで対策が取れると思います。この快適性を叶えるのが住環境、そして資産の余裕です。家を買うときに不安から目先の予算に気を取られてしまうと、人生の最終局面での住環境と資産が崩れてしまいかねません。

老後に向けて早いうちから準備しておくべきこと

30代、40代のうちから快適な老後のために準備しておくべきポイントを3つまとめます。

 

ポイント1:余裕のある資産づくり(預貯金、資産運用、保険)

2019年に金融審議会市場ワーキンググループの報告書をもとに、老後は2,000万円の貯蓄が必要であるという報道がなされ話題となりました。2,000万円という金額に驚いた人も多いと思いますが、よく考えるとそれも「コロナ以前」の話です。コロナ禍以降の急激な物価高により、2,000万円では済まなくなっています。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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その家庭の状況によりいくらの貯蓄が必要なのかは分かれますが、公的年金だけで生活するのは困難なのは確かです。物価高や自分たちの健康が崩れたことも考えて、相当な額の資産を形成していく必要があります。つみたてNISAやiDeCoなどの制度を利用して資産運用を行っていくのはもちろん、保険を使って大病や介護に備えておくことも重要です。

 

ポイント2:住宅ローンをリタイア後に残さない

先述した家の間取りや立地の問題以外にも、老後に住宅ローンを残さないことも重要です。80歳まで住宅ローンが残るような返済計画では、大病・介護となったときに悲惨なことになります。定年退職時に繰り上げ返済を行えることが理想です。その返済資金も着実に貯蓄や投資で増やしておく必要があります。

 

ポイント3:家族やコミュニティでの良好な人間関係

日本には「お金のある孤独なお年寄り」がたくさんいます。資産形成だけに囚われていると人生の根本的な幸福度が下がってしまいます。特に家族関係が壊れてしまうと老後生活は精神的に不健康なものとなります。お金は自分で何とかするとしても、介護の初期にはやはり家族の協力が必要になります。

 

またコミュニティでの助け合いがあると大変助かります。若いころに家庭やコミュニティで身勝手に振舞っていては、いずれお金では解決できない心の問題を抱えてしまいます。現役時代から積極的にコミュニティの活動に参加したり、配偶者や子供達との交流を深めたりしておきたいものです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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長岡 理知

長岡FP事務所

代表