なぜ高齢者は働くのか? 理由、3つ
高齢者が働く理由。大きく3つあります。
理由① 収入がほしいから
全体の45.4%が「お金」を理由にしています。国民年金の満額支給だと月6.4万円。厚生年金受給者であれば、65歳以上男性で平均17万円、女性で10万円。これで暮らしていけるか判断は分かれるところですが、年金暮らしの過半数は「収入は公的年金のみ」という状況を考えると、十分ではない、というのが多くの人の共通認識でしょう。
理由② 老化防止
全体の23.5%が理由にしているのが「健康」。2022年、日本人の平均寿命は男性で81.47歳、女性で87.57歳。世界有数の長寿国です。一方で、健康寿命(2019年値)とのギャップは、男性で8.79年、女性で12.19年。からだに何らかの問題を抱えながら、10年前後を暮らしていかなければなりません。できればこの期間は短ければ短いほどいいもの。そのため「からだに良いから」という理由で、働く高齢者は増えています。
理由③ 仕事が面白いから/経験を生かせるから
学校を卒業してから社会人となり働いていたら、40年あまりの経験があります。このような経験値を定年を機に終わらせるのは、少々残念。人手不足感が高まっているなか、高齢者も貴重な人材と、活用シーンが広まっています。
高齢者が働く理由。そこには前向きな声もありますが、やはり先立つものはお金。たとえば東京23区。生活保護費は住宅扶助基準額5万3,700円を含め12万7,920円。平均的な元会社員の女性の場合、前述のとおり平均年金額は月10万円ほど。単身の賃貸暮らしであれば、毎月2万円ほど貯蓄を取り崩さなければ生きていけない、ということになります。
しかも昨今の物価高。電気代などの光熱費に、食品の値上げは、収入が限られる年金生活者を襲います。たとえ「年金だけでも生きていけます」という人でも心配はつきません。元気なうちは働きたい……その思いの裏側には、高齢者の切実な事情が見え隠れしています。