賃貸住まいだと「家賃払うのもったいなくない?」「いまの家賃と同じくらいのローン返済で家が買えるよ」などと、マイホーム購入を進められることがあります。そして多くが納得し、マイホームを検討し始めますが、住宅購入に際し「えっ、こんなことにお金かかるの?」と見落としている部分も。みていきましょう。
「家賃16万円!? それなら家、買えば」を信じた月収36万円・30代会社員の破滅「住宅ローンでマイホーム」の落とし穴 (※写真はイメージです/PIXTA)

「ローン返済プラスαの経費」のイメージがついていないケースが多い

株式会社不動産経済研究所『首都圏 新築分譲マンション市場動向 2023』によると、戸当たり平均価格は6,510万円、1平米当たり単価100.1万円。同じ75平米の新築マンションを購入しようとしたら、7,500万円ほどという計算です。

 

新築マンション購入者の頭金の平均は、物件価格の15~20%。そこで6,000万円を借り入れてマンションを購入したとしましょう。金利は0.5%、返済期間は35年、返済方式は元利均等とします。すると返済総額は6,541万5,305万円、月々の返済額は155,751円。家賃と同程度でマイホームが実現します。

 

また同条件で借入を5,000万円とすると12万9,792円、借入4,000万円であれば10万3,834円。どれほどの返済負担なら耐えられるかなど、各々マネープランを考えて、新築ではなく中古にしたり、立地を考えたりしながら、ついにマイホーム実現! となるわけです。

 

――いまの家賃と安いローン返済で、このマンション、買えちゃいますよ

 

もしかしたら、そんな営業トークを鵜呑みにする人もいるかもしれません。きっと「アドバイス聞いて、よかった」とほくほく顔かもしれませんが、マイホームのランニングコスト、つまり維持のために、どれくらいのコストがかかるか、把握していないケースも珍しくありません。

 

まずは「固定資産税」。徴収は各自治体が行い、税額は「固定資産税評価額×標準税率1.4%」で計算されます。マンションだと戸建てより安く、8万~10万円程度が目安です。

 

また分譲マンションの場合は管理費や修繕積立金の支払いも忘れてはいけません。新築マンションの場合、築15~20年ほどで大規模修繕を行いますが、「修繕費が足りない」と、積立金の値上がりというケースも。

 

さらに今後「金利の上昇」によって、月々の返済額が変わる可能性も考えておく必要があるでしょう。いま金利上昇といわれているのは固定金利で、変動金利は金融機関間の競争により据え置き、またはさらなる下落もいわれていますが、何十年にも及ぶローン返済、ずっと同水準の金利というのは考えにくく、常に動向をチェックしておく必要があります。

 

「家賃を払うのはもったいない」を理由に「家賃程度の返済負担でマイホーム購入」を決めると、想定外の出費に四苦八苦というケースも。蓋をあけてみると、家賃以上の出費で負担が増し、破産寸前という事態にも。動機はどうあれ、マイホーム実現には何十年後も見据えたしっかりとしたマネープランの検討が必須です。