近年急速に普及しつつある「ジョブ型雇用」。この雇用形態がスタンダードになると、人材の流動化が進み、個人のスキルアップがますます求められます。そこで、「スキルの見直し」に国から支援を受けられる「教育訓練給付制度」について、FP Office株式会社の中井康寛FPが紹介します。
“国のお金”でキャリアアップ!最大「4年間・年40万円」給付金がもらえる「教育訓練給付制度」とは (※写真はイメージです/PIXTA)

「ジョブ型」が増えると副業も可能に?

ところで、以上のような変化の効果の1つとして、労働生産性の改善と賃金の上昇が挙げられるのですが、このことは、いままさに足元の経済環境が強く求めるところでもあるようです。「物価高」は金利の上昇を促しますが、賃金も上がってくれれば、カバーできるからです。

 

どういうことでしょうか。金利は、融資を受けたり、ローンを組んだりする側からすると、コストです。金利の上昇とは、負担が増大するということを意味します。

 

一方、賃金は収入であるので、簡単な話、金利が今後上昇したとしても、それを補って余りあるくらいに賃金が上昇してくれれば問題ないわけです。賃金が上がらないのに、物価や金利のコストばかりがかさんでしまうと問題なわけです。コンスタントに賃金の上昇が見込める世界。ぜひ実現して頂きたいものです。

 

さて、今後勢力を増しそうな「ジョブ型」は、皆に専門性を求めます。実際、スキルを磨く人も増えています。このように、キャリアに対して、個人が意識的に向き合っていくことがより一般的になると思われます。

 

その結果として、転職する人は、より増大していきます。専門性を身につけた個人は、自分の裁量が拡大し、より自由な時間を構築していけます。副業も当たり前になるのではないでしょうか。

 

それを認めない企業に良い人材は見向きもしてくれないかもしれません。ただ、副業が可能となれば、手持ちの仕事を天秤にかけてより良い方にバランスを移していくかもしれません。

 

結局、企業や仕事自体が魅力的だと映らなければ、せっかくの良い人材も離れていってしまいます。企業だけでなく、各個人も「安定」したいなら「変化」が必要だと強い認識を持って、キャリアを選別していくからです。

 

そんなところで、最後にFPの観点に立って、1つ。「では、スキルの見直しを」と思われても、勉強するコストは重いと感じられるかもしれません。そんなときは国の制度を活用しましょう。

 

公的給付として、「教育訓練給付制度」があります。3種類あるのですが、受講する講座に応じて区分されています。

 

「一般教育訓練給付」

活用例:TOEIC、簿記など幅広く対応する。

支給額:受講費用の20%(上限10万円)

 

「特定一般教育訓練給付」

活用例:税理士、社労士

支給額:受講費用の40%(上限20万円)

 

「専門実践教育訓練給付」

活用例:キャリアコンサルタント、また大学院など。

支給額:受講費用の50%(年間上限40万円)が最長4年にわたり支給

なお、資格取得後1年以内に就職すると、費用の70%(同56万円)までカバーしてくれる。

 

NISAは国が税制面でフォローするので、皆さんに「運用」をしてくださいとメッセージを送ります。これらの給付金は資金面をバックアップするので、皆さんに「スキル」を付けてくださいとメッセージを送ります。うまく利用しつつ、今の変化に対応していきましょう。

 

 

根本 寛朗

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー