「生命保険は年払いのほうが合計支払額が少なくなること」は多くの人が知っているでしょう。しかし、具体的にどの程度安くなるのか把握している人はどれくらいいるでしょうか。今回、同一の保険商品の支払方法を月払いから年払いに変えた場合、どの程度安くなるかについて、FP Office株式会社の根本寛朗FPが解説します。
「生命保険は年払いがお得」というが…実際の「支払い額」はいくら安くなる?【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

生命保険料は「月払い」と「年払い」どっちがお得?

日本人の8割以上が加入している生命保険ですが、皆さんはどのように支払っているでしょうか。同じ生命保険でも払込方法を変えるだけで将来払い込む保険料総額が少なくなりお得になることがあります。

 

生命保険の払込方法は「一時払い商品」と「平準払い商品」があり、平準払い商品には「月払い」、「半年払い」、「年払い」といった支払い方法があります。

 

そのなかでも今回は、「月払い」と「年払い」について比較します。

 

年払いの金額の割引率には各社違いがありますが、月払いに換算すると平均「約11.5ヵ月分」になります。(11.1~11.8ヵ月)

 

同じ保険商品であっても、年払いで払っている人は月払いで払っている人に比べて、年間で「約4.3%」安く支払っていることになります。

 

たとえば、保険料を月々20,000円払っている人が年払いに変更すると、年間で約10,000円安くなります。これを30年払っていくとなると、300,000円ほど安くなる計算です。

 

また、貯蓄性の保険商品に加入している人は、月払いを年払いにして保険料が安くなっても解約返戻金の額は変わりません。

 

仮に、月払いで20,000円支払っていき30年後に計7,200,000円払って、その時の解約返戻金が8,000,000円(返戻率…約111%)になっている商品があったとします。それを年払いで支払った場合は、30年で約6,900,000円になります。しかし、解約返戻金は月払いと同じ8,000,000円となるため、返戻率は約116%に向上するのです。

年払いの場合「中途解約」で損しないか

ここで、年払いを選択した場合、支払い後すぐに解約してしまうと残りの期間分が戻ってこず、損をするのではないかと考える人もいるのではないでしょうか。

 

この点は、2010年4月の保険法施行により未経過保険料は返還されるようになりました。(死亡時も死亡日以降の未経過保険料は返還されます)ただし、2010年4月以前の契約の保険は未経過保険料が返還されませんので注意が必要です。

 

まとめ

このように、支払い方法を月払いから年払いに変えるだけで、同じ保険商品であっても支払総額がお得になります。

 

しかし、1度に支払う金額は月払いより大きくなるため、次年度の支払いまで1年間の保険料分を残しておく必要があります。1年後の支払いを忘れて手元に現金が残っておらず、保険料を支払えないといったミスには十分気を付けましょう。

 

また、最近ではクレジットカード払いができる場合もあります。しかし、金額によっては年払いにするとクレジットカード払いができなくなってしまうこともあるため、自分自身のライフスタイルや資金計画の管理などを考え、自身にあった生命保険料の支払い方法を選択していきましょう。

 

 

根本 寛朗

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー