学校を卒業してから、数十年に及ぶ会社員人生。「体力が続く限りは働きたい!」という人もいれば、「できるだけ早くリタイアしたい」という人も多いでしょう。ただその想いを叶えるためには、経済的な問題が……。みていきましょう。
「会社、辞めてきた」「えっ!?」年収800万円の55歳・父の衝撃告白に家族も騒然…最期まで働かなくてもいい「羨望の貯蓄額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

「年金を手にするまでの10年」+「年金を手にしてから30年」を夫婦で生きるには?

55歳で早期退職して、完全現役引退。そうなるためには、いくら貯蓄があればいいのでしょうか。仮に平均的な年齢で結婚し、第1子が誕生したと考えると、子どもはちょうど大学卒業。教育費の心配はちょうど無くなったタイミングだといえるでしょう。

 

同じく、平均年齢でマイホームを手にしていたとしたら。国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』によると、注文住宅購入者(一次取得)の平均年齢(世帯主)は、40.0歳。年間返済額は平均139.4万円で、32.9年(住宅建築費返済)~34.2年(土地購入費返済)のローンを組んでいます。

 

仮に40歳、年間139万円の返済で34年ローンを組んでマイホームを実現したとすると、年利0.5%、元利均等の返済とすると、55歳退職時には2,550万円の残債がある計算です。55歳以降、働かないのであれば、その時点で完済してしまう蓄えはほしいもの。

 

さらに総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、「世帯主~59歳」までの消費支出は平均25万0,299円、「世帯主60~64歳」では28万7,126円。つまり、65歳になるまでに3,200万円ほどの生活費を確保しておきたいところです。

 

そして65歳からは年金を手にすることになりましが、早期退職すれば、その分、保険料の支払額は減りますから、手にする年金額は減ります。

 

仮に大卒サラリーマンが定年まで平均給与で働き続けたら、厚生年金部分は月10.7万円。国民年金と合わせたら、月17万円を手にする計算です。

 

もし55歳で早期退職したら、厚生年金部分は月9.2万円と、1万5,000円も少なくなります。仮に妻は専業主婦で国民年金を満額手にすると仮定すると、夫婦で手にする年金は月22万円です。手取りにすると18万~19万円ほどです。

 

65歳以上夫婦の平均消費支出額は24.3万円なので、月6万円ほどの赤字となり、その分を貯蓄で補填するとなると、1年で72万円、10年で720万円、20年で1440万円、30年で2160万円の貯蓄を取り崩すことになります。

 

もし55歳で早期退職&完全現役引退し、年金受け取り後の生活が30年続くと考えると、大卒会社員の場合、8,000万円ほどの貯蓄があれば現実のものにすることができるかもしれません。また退職金をあてにするなら、さらにその金額はぐっと減ることになります。

 

もちろんこれは「例えばの話」。平均以下の給与であれば手にする年金は少ないでしょうし、住まいは持ち家か、賃貸か。持ち家の場合は修繕はどうなるのか、住んでいる地域は、家族構成は……さまざまなことが絡み合い、8,000万円あれば十分な人もいれば、8,000万円あっても不十分な人もいるでしょう。

 

ただ「もし55歳で現役引退しても夫婦で生きていける」だけの貯蓄を目指して資産形成を進めていけば、早期退職後に働くことにしても、働かないことにしても、どちらに転んでも安泰な老後が待っているといえそうです。