平均40歳、月々11.5万円のローン返済で一戸建てを実現
――金利が高くなるかもしれないから、やめておけ
――高止まりしているから、やめておけ
――自由でなくなるから、やめておけ
世の中、色々な理由をつけて「家を買うな!」という言葉があふれていますが、やっぱり「買えるものなら買いたい」というのがマイホーム。日本の場合、なんだかんだいって持ち家率は6割を超え、住宅の所有欲は強いものがあります。
国土交通省『令和3年住宅市場動向調査』によると、注文住宅(一次取得)購入者(世帯主)の平均年齢は40.0歳。購入資金総額(土地+住宅建築)は平均4,879万円、年間返済額は139万円となっています。
40歳にして夢の一戸建てを実現。このとき、どれほどの給与を手にしているのかというと、大卒サラリーマンで、月収41.1万円、手取りにすると31万~32万円、年収は684万円ほどになります*。
*厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』男性、大卒、企業規模10人以上。月収は所定内給与額、年収は推定
手取り32万円ほどで、そのうち月々11.5万円の返済。年収に対する年間の返済額の割合である返済負担率は20%ほどですから、世帯主の収入だけでも十分返済していくことができるマネープランです。
ただ十分に心得ておきたいのが、住宅ローンを返し終わる年齢。平均30~35年ローンを組むことを考えると、払い終えるのは70代。繰り上げ返済をして早々に返すのがいいのか、それとも手元資金を残す&増やすことを念頭に、予定通りの完済を目指すのか。絶対的なおすすめはなく、それぞれの判断となります。
ただし住宅購入年齢の上昇により、老後破綻が増えているという一面もあり、注意が必要です。
給与は55歳で3割減、60歳で3割減
考えておきたいのは、まず定年前の収入減。一般的に会社員であれば、50代で給与がピークに達します。部長などと、肩書を手にしている人も多いでしょう。ただ定年まで「役付き」とは限らず、なかには役職定年制の会社も。制度を導入している会社では多くが「役職定年55歳」で、その時点で収入は平均3割減となります。
そうこうしているうちに、多くの企業で「60歳の定年」を迎えることになります。ほとんどの企業で希望すれば65歳まで働けるよう整備が進んでいますから、ローンを抱えているのであれば「まだまだ働きます!」と決めるでしょう。ただし定年を境に収入は平均3割減となります。
役職定年に加え、定年年齢を経ると、収入は半減に。その減少幅ときたら、分かっていたとしても想像以上です。
また最近は結婚年齢、そして第1子誕生年齢も上昇傾向にあり、定年を迎える頃に子離れ・親離れ、というのも珍しくありません。
そうなると、定年を迎えてから、ようやく自分たちの老後のことを考えるようになるでしょう。しかし現役時代最高レベルから半減した給与では、資産形成はうまくはいかず、いつまでも現役を引退できず、仕事を続ける……そんな事態に陥ります。