※画像はイメージです/PIXTA

特段活用する予定のない遊休不動産……「なんとなく駐車場にしている」という人も少なくありません。一部の地主・投資家から注目されている遊休不動産の活用方法として、「クリニック・医療モールへの建て貸し」があります。クリニック・医療モールへの建て貸しが注目されている理由と、投資した場合の具体的な収支シミュレーションについて、三井ホーム施設事業本部・事業推進室・営業推進グループマネージャーの田中哲也氏に話を聞きました。

医師と地主…それぞれが「建て貸し」に注目するワケ

近年、医師がクリニックを開業するにあたって、「建て貸し」を活用するスタイルが注目されています。

 

建て貸しとは、土地の所有者が建物を建設し、その建物を貸すという賃貸形態のひとつです。建物は、賃借人の希望を取り入れた仕様なので「オーダーメイド賃貸」と呼ばれることもあります。

 

クリニックの場合、土地オーナーが開業を希望する医師の意向に沿って建物を建て、医師がそれを借り受ける契約を結びます。

 

医師の側からすると、土地購入や建築費用をかけずに、自らの理想とする設計のクリニックを低リスク、低コストで実現することができます。

 

他方、地主側は遊休不動産の活用法として、医師という社会的信用の高い相手に貸すことで、長期的に安定した運用が期待できます。

 

実際、クリニックの建て貸しの現状はどのようになっているのでしょうか。「ドクターズレントハウス」のブランド名でクリニックの建て貸し事業を展開している三井ホームの田中哲也氏は次のように説明します。

 

田中氏「当社のドクターズレントハウスに関して言いますと、クリニックの建て貸しが成立するのは基本的に大都市圏に限られます。首都圏、関西圏、名古屋、福岡、仙台などで、クリニックの8~9割は郊外の駅から少し離れた住宅街に立地しています」

 

クリニックというと、駅前の人通りの多い場所のほうが、経営的にも有利に思いますが、そうとは限らないようです。

 

田中氏「大都市圏の主要な駅前にはすでにクリニックが密集していて競争が激しく、新しく開業するのは経営的に難しくなっています。一方、駅から離れた住宅地では、既存のクリニックがほとんどないので、診療科目にもよりますが、患者がかなり見込めます。患者も自宅近くのほうが通院しやすい。そこで近年は、郊外の住宅地の好立地に場所を探されるドクターが増えています」

 

宅地での開業に向いている診療科の傾向はあるのでしょうか。

 

田中氏「診療科としては、生活習慣病などを診る内科全般、整形外科、小児科、眼科、耳鼻科、歯科などが向いており、逆に美容外科やリウマチ・膠原病など専門特化した診療科は住宅街にはあまり適しているとはいえません。

 

最近の傾向としては、脳神経外科が増えていることがあります。専門性の高い科目ですが、MRIを入れるクリニックが多く、駅前のビルなどには重荷重な医療機器は構造的に入らないため、戸建てを選択されるドクターが増えているのです」

 

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本記事は、「医療と生きる人々が、生の情報で繋がる」をコンセプトにシャープファイナンス株式会社が運営する医療プラットフォーム『Medical LIVES』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。