※画像はイメージです/PIXTA

特段活用する予定のない遊休不動産……「なんとなく駐車場にしている」という人も少なくありません。一部の地主・投資家から注目されている遊休不動産の活用方法として、「クリニック・医療モールへの建て貸し」があります。クリニック・医療モールへの建て貸しが注目されている理由と、投資した場合の具体的な収支シミュレーションについて、三井ホーム施設事業本部・事業推進室・営業推進グループマネージャーの田中哲也氏に話を聞きました。

クリニックへの建て貸し…具体的にどのくらい儲かる?

続いてクリニックの建て貸しの収益性について、三井ホームのドクターズレントハウスのシミュレーションを見てみましょう。たとえば敷地面積400㎡(駐車場5台含む)の所に内科クリニック(2階建て1棟、薬局併設)を建てる場合、順調に進めば工事費7,700万円、賃料(月額)77万円、契約期間20年として、表面利回り12.00%(20年平均)も見込める可能性があるといいます。

 

田中氏「場所にもよりますが、アパートやマンションでは表面利回りは5%~8%程度ですから、同じ場所で安定して10~12%の利回りが見込めるとご説明すると、多くの地主の方が関心を持たれます」

 

一方、土地オーナーにとって、クリニックの建て貸しには、どのようなリスク、デメリットがあるのでしょうか。

 

田中氏「地主の方が最も心配されるのは、クリニックの経営不安です。そのため当社のドクターズレントハウスは、基本的に15~20年の長期の定期借家契約を結びます。また、中途解約の場合は違約金が発生するため、地主の方にとってはその点も安心材料となります。

 

さらに、経営破綻した場合に備え、開業医には各種保険に加入していただくなど安全性を担保しています。ただ実際のところ、クリニックは普通に経営をしていれば破綻することは少なく、当社(三井ホーム)も過去に経営破綻したクリニックは1件もありません」

 

もうひとつの土地オーナーの不安は、契約終了後だといいます。

 

田中氏「クリニックは、医師の希望する設計プランで建てますから、契約終了後に閉院される場合、建物をほかに転用しにくいのです。ですから閉院が決まった場合は、その1年前くらいから開業希望の医師を探して、事業承継してもらうケースが多いです。

 

安定経営していたクリニックは、患者がついていますから、同じ診療科目で新規開業する先生は集患の心配がなく、経営を早期に軌道に乗せられるメリットがあります。事業承継の形で開業を希望されるドクターは少なくないので、比較的スムーズに進みます。地主の方も、空室期間がないため非常に喜ばれます」

 

前述したように、クリニックの建て貸しは高い利回りが期待できます。そのため最近は、土地オーナーではない一般の投資家からも注目されているようです。投資家が土地を買い、クリニックを建てて貸し出すのです。

 

田中氏「当社でも東京・多摩地域などで手がけています。アパートやマンションに比べて賃料が高いので、投資家にとっても魅力的な資産運用法のひとつとして、注目されているようです」

 

ここまで見てきたように、開業医向けのクリニックの建て貸しは、土地活用の有力な方法のひとつです。遊休不動産の有効活用に頭を悩ませている、アパートやマンションへの投資に物足りなさを感じている地主にとっては、検討する価値が十分あるといえそうです。

 

 

Medical LIVES/シャープファイナンス

※取材協力:三井ホーム株式会社 田中哲也(施設事業本部・事業推進室・営業推進グループマネージャー)

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本記事は、「医療と生きる人々が、生の情報で繋がる」をコンセプトにシャープファイナンス株式会社が運営する医療プラットフォーム『Medical LIVES』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。