人生史上、最高の貯蓄額…「老後に不安はない!」が一転する3つの理由
退職金1,000万円、そして年金は月17万円。これで老後資金はバッチリかといえば、評価は分かれるところ。家は持ち家か賃貸か、世帯数は1人か、2人か、それとも3人か……人それぞれなので一概にいうことはできないので、「現状を顧みて個々がきちんと備える」が正解でしょうか。
また内閣府『令和4年版高齢社会白書』によると「経済的な暮らし向きについて心配がない」とする65歳以上の高齢者の割合は68.5%と7割に迫る水準。余裕の源泉となるのは貯蓄額。
総務省統計局『家計調査 貯蓄・負債編』(2021年)によると、60代の貯蓄額は平均2,537万円とピークに達します。また70代でも貯蓄額は平均2,318万円、負債額は86万円と最少に。老後に備えてしっかりと資産形成をしてきたことが、老後の安心に繋がっています。
【貯蓄と負債の推移】
~29歳:貯蓄414万円/負債802万円
30~39歳:貯蓄774万円/負債1,452万円
40~49歳:貯蓄1,134万円/負債1,172万円
50~59歳:貯蓄1,846万円/負債692万円
60~69歳:貯蓄2,537万円/負債214万円
70歳~:貯蓄2,318万円/負債86万円
出所:総務省統計局『家計調査 貯蓄・負債編』(2021年)
このように定年を迎えた高齢者の大多数は、経済的な問題は抱えてないように考えられます。しかし、老後破産の件数は年々増加。日本弁護士連合会『2020年破産事件及び個人再生事件記録調査』によると、破産債務者の60歳以上の割合は全体の25%にものぼっています。
老後破産の理由①「収入減に対応できず…」
なぜ老後破産に陥ってしまうのか、その原因は大きく3つ。まずは「収入減への対応」。年金生活になれば当然、現役時代に比べて収入は減ります。それに合わせて家計はダウンサイズしなければなりません。しかし生活水準を落とすのは至難の業。現役時代と同じライフスタイルを引退後も継続した結果、家計が成り立たなくなるというケースは珍しくありません。
老後破産の理由②「現役時代とは比べ物にならない“医療費・介護費”」
そして「医療費・介護費の増大」。年を重ねていけば、健康リスクは高まり、それまで病院知らずの人でも通院する機会は増えるもの。ときには想像以上の医療費・介護費がかかる場合も。高額療養費制度などもあり、負担額はそれほどではないとはいえ、現役時代と比べるとはるかに出費は多くなり、家計を圧迫。老後破産の原因のひとつになります。
老後破産の理由③「70代でも続く“住宅ローン返済”」
そして「住宅ローンの対応」。近年、晩婚化、それに伴い、住宅購入年齢の上昇により、完済平均年齢は70代という状況に。限られた収入のなかでローンを返済していくのは想像以上に大変なもの。さらに完済しないうちに修繕などが必要となり、さらにローンが膨らむ場合も。結果、家計が耐えられず老後破産に陥るケースが増加しているといいます。
また退職金で一気に払い、貯蓄がわずかになるパターンも。貯蓄が心許なくなると、公的年金だけでは赤字になる老後は一気に不安定に。最悪、老後破産となってしまうのです。
――退職金もあるし、貯蓄もあるし、年金もそれなりに
そう準備万端なはずが、想定外のことで底をついてしまう……そんな事態に陥ることのないよう、老後のシミュレーションは万全に。老後30年を見据えて……などと想定していても、「長生きのリスク」というケースも。どのような場合でも対応できるよう、少しでも「資産寿命を延ばす」ことを目指して、努力してみてはどうでしょうか。