5分でドル円が4円急落した「フラッシュ・クラッシュ」。この急激な大暴落の要因のひとつには、事件当日が「祝日」であったことが関係していると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。そのため、プロのトレーダーは季節的な値動きも念頭に置いてFXの取引をします。なぜなのでしょうか、みていきましょう。
わずか5分でドル円が「4円」急落することも…「祝日」のFX取引が超危険なワケ【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

市場の流動性が低下するタイミングとは?

冒頭で述べたように、為替市場で取引している人の多くはアメリカや欧州を生活の基盤としています。そのため、相場の流動性を考えるためには、アメリカやヨーロッパの祝日や経済イベントに着目する必要があります。アメリカを例とすれば、独立記念日や8月の夏休み、イースター、クリスマス、年末年始など市場参加者が少なくなるタイミングです。

 

日本の感覚とは異なり、アメリカの祝日は多くの企業が休日設定しており、ほとんどの人が仕事のことは一切考えずに家族や恋人と過ごします。そのため、このようなタイミングでは相場の流動性が低くなり、普段よりも不規則な値動きになることがあります。

 

さらに、アメリカや欧州の重要な経済指標の発表前も流動性が低くなるタイミングです。多くのトレーダーは、指標結果という不確実な要素を嫌気して、指標発表前のトレードを控える傾向があります。そのため、アメリカや欧州の重要指標の発表前は流動性が低くなり、スプレッドが拡大し、約定価格の値幅が飛びやすくなります。

 

また、指標発表直後に一方向に価格が大きく動く理由のひとつが、流動性が低い状態で一方向へ注文が殺到するからです。急激な値動きに巻き込まれないために、普段から市場参加者が多いアメリカやヨーロッパのニュースには注意しておくといいでしょう。

プロトレーダーは季節的な値動きも念頭に置いている

今回解説してきたとおり、為替市場の値動きは季節性を伴って不規則になるタイミングがあります。不規則になるタイミングではプロのトレーダーでも対応が難しい急激な為替変動が起こることがあります。そのため、プロトレーダーの多くはアメリカや欧州の祝日や経済指標前後のトレードを行いません。祝日明けや経済指標の結果を見て、市場参加者が多くなってきてからエントリーしています。

 

初心者トレーダーが突発的な価格変動による強制ロスカットを防ぐには、普段のテクニカル分析とは別に海外のイベントや経済指標にも注目する必要があります。

 

流動性の低い相場で取引することは急な価格変動を受け入れるだけのリスクを負っているということです。それでも流動性の低い相場でトレードをするなら、ロットの変更やストップロスの注文を必ず入れるなどさまざまな対応が必要です。流動性が低い相場は資金管理力が試される相場です。初心者トレーダーはまず海外の情報を取り入れていきましょう。そうすることで相場に対する新たな視点や資金管理方法が自然に身についていくでしょう。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員