5分でドル円が4円急落した「フラッシュ・クラッシュ」。この急激な大暴落の要因のひとつには、事件当日が「祝日」であったことが関係していると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。そのため、プロのトレーダーは季節的な値動きも念頭に置いてFXの取引をします。なぜなのでしょうか、みていきましょう。
わずか5分でドル円が「4円」急落することも…「祝日」のFX取引が超危険なワケ【プロトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

最も「値動きが激しい」タイミングとは?

為替市場で最も値動きが激しくなるタイミングは、ニューヨーク市場と欧州市場が開いているときといわれています。また、ニューヨーク市場と欧州市場が開いている時間帯は、為替取引をしている人が1番多くなるタイミングです。さまざまなトレーダーが参加する為替市場ですが、季節やイベントによって相場参加者が極端に少なくなるタイミングがあります。このような相場では不規則な値動きになりやすく、収益を上げにくいという特徴があります。

 

今回解説する時期による特徴的な値動きをおさえることで、デイトレードをより効率的に行うことができるでしょう。

相場参加者が「少ない」ときの市場

相場参加者が少ない相場のことを「流動性の低い相場」と表現します。流動性の低い相場では、スプレッド(売り注文と買い注文の価格差)が大きく開いたり、いきなり一方向へ一方的な値動きをすることがあります。そのため、流動性の低い相場で大きなロットを張ってトレードをすると、理由もわからないまま一瞬で大損してしまう可能性があります。

 

「FXトレード」はその名のとおり、「トレード(交換)すること」を意味して、取引相手がいないと相場が成り立ちません。たとえば、Aさんがドル円を100.0円で売り注文を出していた場合、Bさんがドル円を100.0円で買い注文を出した時点で両者がマッチングして、100.0円でのドル円の売買が成り立ちます。普段、FXトレーダーは何気なく指値や成行注文をしていますが、裏ではこのような価格のマッチングが行われているのです。

 

相場参加者が少なくなった場合、このようなマッチングが起こりにくくなります。そのため、普段以上にスプレッドが広くなったり、自分が想定していなかった価格で指値や逆指値が執行されてしまったりすることがあります。

「5分」でドル円が「4円」急落したフラッシュ・クラッシュ

2019年1月3日、わずか5分程度でドル円が4円急落するフラッシュ・クラッシュという事件が起こりました。為替市場の値動きにひとつの答えはありませんが、主な要因として考えられるのは、相場の流動性の低さです。

 

主要なトレーダーや大企業、金融機関は1月3日に休む人が多く、市場参加者が少ない状態でした。流動性が低い状態でドル円の急激な売りが起きたため、価格のマッチングが追いつかず、普段ならありえない価格帯で注文が執行された結果、大暴落を招いたと判断されています。この大暴落は、大多数の強制ロスカットを巻き込みました。年末年始という、市場参加者が少ない時期にポジションを持つということは、フラッシュ・クラッシュのような相場の急変に直面するリスクが高くなるということです。

 

FXで稼ぐためには、普段のトレードスキルとは別に、季節やイベントによる流動性の変化も敏感に感じ取ることが求められるのです。