FX初心者は、根拠なしに感覚的なトレードをし、小さな損切りを繰り返して資金をなくしてしまいがちです。しかし、ひとつの基準を設けるだけでそれを避けることができると、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏はいいます。みていきましょう。
FXトレーダーが教える「良い損切り」と「悪い損切り」の決定的な差 ※画像はイメージです/PIXTA

論理的な「許容損失の決め方」を実践するプロトレーダー

プロトレーダーは、相場のボラティリティに合わせてロット数や損切り幅を変化させています。初心者トレーダーとは異なり、論理的に自分が負うリスクをコントロールしています。プロトレーダーが損切りラインを決める際に考えることは、「1回のトレードでどれだけの損失を受け入れるか」ということです。この考え方を「許容損失の範囲を決める」といいます。許容損失の決め方は、1回のトレードで全資金の何%まで失うリスクを取るか考えます。

 

たとえば、運用資金が100万円で許容損失が1%の場合、損切りの幅は最大で1万円になるように設定する必要があります。また、同じ1万円という損切り額でも、相場のボラティリティに対応して、ロット数とpips数のバランスを考える必要があります。たとえば、1万通貨で100pipsの損失と、5万通貨で20pipsの損失を比較すると、どちらも1万円の損失額です。ボラティリティの高い相場では、ロット数を下げて大きな変動に耐えるだけのpips数を確保するなどの考慮が必要になります。

 

このように許容損失額を決めると、取引ロット数と損切りラインまでのpips数を同時に決めなければならないので、自然と資金管理能力が上がります。また、論理的に損切り幅を決めることで、大きな損失を招く確率を最小限にすることができます。

FX初心者が取る最適な許容損失は資金の何%?

トレード毎に許容損失を決めることが重要と解説してきましたが、FX初心者が取る最適なリスクはどれくらいなのでしょうか。相場の流れや稼ぎやすいポイントを理解しているプロトレーダーは、時に許容損失を5〜10%ほど引き上げて大きな勝負に出ることがあります。

 

しかし、このような大きな勝負は、相場の流動性を理解しているからできる行動であって、FX初心者が取るべき行動ではありません。相場の流動性に対する値動きの予測に自信のないFX初心者は、まず許容損失を2%以内に収めることから始めましょう。許容損失を2%以内に収めれば、たとえ5連続で損切りするようなトレードをしたとしても、最初のトレードで掛けたロット数と同じ数量のポジションを張ることができます。この「連敗しても同じロットが張れる」という条件が非常に大切です。

 

多くの初心者トレーダーは、連敗すると証拠金が足りず、連敗前のロット数で取引することができません。その結果、資金を取り戻すために負けた回数以上の利益トレードが必要となってしまうのです。

ボラティリティに合わせた資金管理をする重要性

今回は、安定した利益を上げるプロトレーダーの損切りラインの決め方を解説しました。運用する資金に対して許容損失を決め、相場のボラティリティを考慮したロット数を張ることが、プロトレーダーへの第一歩となります。

 

いままで損切りのラインを感覚的に決めていたトレーダーは、これを機に「許容損失額」を意識してみましょう。そうすることで、突発的な大きな損失を被る可能性を小さくすることができるでしょう。損失を限定し、利益を最大限に伸ばすことが、FXで安定して利益を上げ続けるコツです。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員