公務員試験は実力主義…中卒であってもキャリアの可能性はゼロではないが
地方公務員の場合、採用や年収の面で学歴による差が付くことはありません。公務員試験は「大卒程度」「高卒程度」などと受験区分が決まっています。しかしこれは、あくまでも試験の名称が学歴別に分かれ、筆記試験の難易度を表しているもの。学歴による受験資格を設けているわけではありません(ただすべての自治体がそうであるとはいえないので、確認が必要です)。
給与面ではどうでしょうか。総務省『令和3年 地方公務員給与の実態』によると、全地方公共団体、一般行政職(平均年齢42.1歳)の平均給料は月額31万6,026円。学歴別にみていくと、中卒(平均年齢52.4歳)だと35万9,408円、高卒(平均年齢43.8歳)は32万4,146円、大卒’(平均年齢40.3歳)は31万2,982円と、明らかな給与差は確認できません。
平均年齢が大きく乖離していたり、そもそもの人数に差があったり(中卒の職員数は1,524人、対して大卒は57万3,754人)と、比較するのもナンセンスのようですが、民間企業に比べて公務員は給与差が小さい、というのは本当のようです。
では国家公務員の場合はどうでしょうか。こちらも公務員試験に学歴フィルターは存在しません。しかし国家公務員の総合職では「大卒程度・院卒程度」の試験しかなく、難易度は格段と上がります。総合職の合格者は「キャリア」と呼ばれ、有名大学の出身者が大半を占めます。一般職には「高卒程度」の試験があり、こちらは高卒者でも挑戦しやすく、幹部になれる可能性もあります。
実際に給与を比べてみるとどうでしょう。国家公務員行政職俸給表(一)の平均給与は月40万5,049円。学歴別にみていくと、中卒では42万5,672円、高卒では41万5,022円、大卒では40万1,207円、院卒では34万1,203円。こちらも中卒者は40人に対し、大卒者は8万4,391人と、比較するのもナンセンスというものであり、民間企業に比べて学歴による給与差は小さいというのは本当だといえそうです。
――公務員なら学歴は関係ない
そうとは言い切れない部分もありますが、公務員試験の公平さという部分では学歴は関係ないといえるでしょう。一方で公務員は実力主義であるものの、試験の合格者は難易度が高いものになるほど高学歴者が多いというのも事実。結局は、能力が高い人は学歴も高い傾向にあるということ。このことからも、民間企業が「学歴フィルター」を設けるのは妥当だということがいえるのです。