毎年2月16日~3月15日の間で提出する確定申告の時期が近づいています。個人事業主はもちろんですが、サラリーマンも該当する支出等があれば確定申告を行う必要があり、その結果で税金が還付されることがあると、FP事務所ストラット代表の伊豫田誠氏はいいます。サラリーマンが実践可能な「節税」について、事例から詳しくみていきましょう。
年収600万円の35歳サラリーマン「練馬3,000万円マンション購入」も赤字…確定申告で「助かった」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

不動産投資による節税の仕組み…S氏の場合

投資用の不動産を購入すると、収入と支出が発生します。そのため毎年、確定申告(白色)を行いますが、その申告内容に収支内訳書(不動産用)を作成して提出します。

 

この収支内訳書は文字通り不動産投資で発生した家賃収入と、維持費などの経費(支出)を記載しますが、収入より支出が多ければマイナス収支となり、損益通算によって所得控除と同じような効果が発生し、税金(所得税・住民税)が軽減されます。

 

この損益通算とは「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の所得に関しては、他の所得とあわせて計算するという制度で、つまり不動産投資の収支内訳書でマイナス収支になってしまったら、サラリーマンの場合は給与所得と損益通算され、節税につながるというわけです。

 

理解しておきたい点は、不動産投資の収支内訳書上でマイナス収支になっても損をしているわけではなく、会計の仕組みによるものということです。ここでの詳細説明は割愛しますが、実際に不動産投資をはじめる場合には、FPや不動産会社で確認しましょう。

 

次に、S氏の場合を参考に説明していきます。

 

◆S氏が購入した不動産

東武練馬駅から徒歩10分

新築ワンルームマンション29.6㎡

2,950万円金利1.65%35年払い

初期費用80万円

 

◆毎月の収支(キャッシュフロー)

契約賃料10.1万円

ローン支払い9.2万円

管理、積立金、設備保証等0.6万円

管理代行手数料0.3万円

合計収支額±0円

 

◆経費初年度(9ヵ月分)

・購入時諸費用80万円

・減価償却費60万円

・借入利息36万円

・租税公課15万円

・管理修繕費14万円

・経費計205万円

・家賃収入91万円

合計収支-114万円

 

このように、今回の不動産投資では毎月の収支は±0円に対して、初年度の確定申告の収支内訳書では年間-114万円のマイナス収支となります。

 

ポイントは減価償却費と言う経費で、購入したマンション価格2,950万円を初年度に一括で経費計上されず、法律に定められた年数で割って、分割で経費計上していく仕組みのため、毎年の経費計上となります。

 

◆S氏の給料

総支給額605万円

給与所得控除後の金額440万円

所得控除の額の合計額137万円

源泉徴収税額21万円(所得税)

住民税30万円