年に4回訪れる決算発表は、株価が大きく変動しやすいタイミングです。なかでも、決算時に配当金を支払う企業の株は「権利落ち日」に下落しやすいと、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。では、この「権利落ち日」を上手く乗り切るにはどのような心構えで取引すれば良いのでしょうか、みていきます。
高配当株は要注意…賢い「権利落ち日」の迎え方【投資のプロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

「権利落ち日」とは何か、何が起きやすいか

その日に株主であれば配当金を受け取る権利を得られる「権利付き最終日」と、その翌日の「権利落ち日」ですが、権利落ち日には株価が下落する傾向があります。

 

それを承知で権利落ち日を迎えるかどうか、その後その株をどうするかなど、迷うことも多いタイミングですが、そこで今回は、「賢い権利落ち日の迎え方」をご紹介しましょう。

 

次の配当金を受け取るためには、「権利確定日」の時点でその会社の株主であることが必要です。

 

しかし、株主として株主名簿に記載されるには株式購入後2営業日の期間が必要なため、実質はその2営業日前である「権利付き最終日」までに株を買っておく必要があります。

 

そして、権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日」といいます。すでに権利付き最終日を過ぎているため、この日に株を買っても、次の配当を受け取る権利は得られません。

 

[図表]権利確定日、権利付き最終日、権利落ち日の違い
[図表]権利確定日、権利付き最終日、権利落ち日の違い

 

では、配当だけを目当てにして投資をする場合、「権利付き最終日までに株を買っておき、権利落ち日になったらすぐ売ればいい」と考える人もいるでしょう。

 

そしてそれはその通りで、実際、そういう売買をする人が多いため、権利落ち日には株価が下落する傾向があります。理論上は、配当相当分が下がる、と考えられています。

 

では、株価が下がる傾向にあるそんな権利落ち日を、我々はどう迎えればよいのでしょうか?

高ければ売り、安ければ持ち続けるのが基本

ポイントの1つは、後に配当を受け取れるので、それも含めて考える、ということです。

 

そしてもう1つのポイントは、それでも高ければ売り、安ければ持ち続けるのが基本、ということです。

 

権利落ち日の時点で株を持っていれば、後に配当を受け取ることができるのは確定しています。したがって、その日にそれ相当分株価が下落しても、プラスマイナスはゼロと考えてもよいでしょう。つまり、「株価が下がるのは当然」と思っておけばよいのです。

 

そして、権利落ち後の値下がり幅が小さかったり(配当相当分は下がらなかった)、それ以前の株価が非常に高かったりしたため、「下落しても権利落ち後の株価が高い」と判断できるならば、今後の株価は逆に下がる確率が高いと思われますので、売ってもよいでしょう。

 

逆に、権利落ち後の値下がり幅が大きかったり(配当相当分以上に下がった)、それ以前の株価が低かったりしたため、「権利落ち後の株価が(相応以上に)安い」と判断できるならば、今後の株価は上がる確率が高いと思われますので、保持し続けて上がるのを待つのがよいのではないでしょうか。

 

安い時に持ち、高い時に売るのが、投資で利益を出すための基本です。そしてそれは、高い時はその後に下がる確率が高く、安い時はその後に上がる確率が高い、と言いかえることができるでしょう。権利落ち後も、それに忠実であればよいのです。

 

ただし、その会社の実体相応に株価が安いだけの場合は、値上がりする確率は低いでしょう。その会社の実体相応以上に安い場合のみ、これが当てはまります。そしてその会社の「実体」を見極めることが、投資家の技術だともいえます。