「権利落ち日」とは何か、何が起きやすいか
その日に株主であれば配当金を受け取る権利を得られる「権利付き最終日」と、その翌日の「権利落ち日」ですが、権利落ち日には株価が下落する傾向があります。
それを承知で権利落ち日を迎えるかどうか、その後その株をどうするかなど、迷うことも多いタイミングですが、そこで今回は、「賢い権利落ち日の迎え方」をご紹介しましょう。
次の配当金を受け取るためには、「権利確定日」の時点でその会社の株主であることが必要です。
しかし、株主として株主名簿に記載されるには株式購入後2営業日の期間が必要なため、実質はその2営業日前である「権利付き最終日」までに株を買っておく必要があります。
そして、権利付き最終日の翌営業日を「権利落ち日」といいます。すでに権利付き最終日を過ぎているため、この日に株を買っても、次の配当を受け取る権利は得られません。
では、配当だけを目当てにして投資をする場合、「権利付き最終日までに株を買っておき、権利落ち日になったらすぐ売ればいい」と考える人もいるでしょう。
そしてそれはその通りで、実際、そういう売買をする人が多いため、権利落ち日には株価が下落する傾向があります。理論上は、配当相当分が下がる、と考えられています。
では、株価が下がる傾向にあるそんな権利落ち日を、我々はどう迎えればよいのでしょうか?
高ければ売り、安ければ持ち続けるのが基本
ポイントの1つは、後に配当を受け取れるので、それも含めて考える、ということです。
そしてもう1つのポイントは、それでも高ければ売り、安ければ持ち続けるのが基本、ということです。
権利落ち日の時点で株を持っていれば、後に配当を受け取ることができるのは確定しています。したがって、その日にそれ相当分株価が下落しても、プラスマイナスはゼロと考えてもよいでしょう。つまり、「株価が下がるのは当然」と思っておけばよいのです。
そして、権利落ち後の値下がり幅が小さかったり(配当相当分は下がらなかった)、それ以前の株価が非常に高かったりしたため、「下落しても権利落ち後の株価が高い」と判断できるならば、今後の株価は逆に下がる確率が高いと思われますので、売ってもよいでしょう。
逆に、権利落ち後の値下がり幅が大きかったり(配当相当分以上に下がった)、それ以前の株価が低かったりしたため、「権利落ち後の株価が(相応以上に)安い」と判断できるならば、今後の株価は上がる確率が高いと思われますので、保持し続けて上がるのを待つのがよいのではないでしょうか。
安い時に持ち、高い時に売るのが、投資で利益を出すための基本です。そしてそれは、高い時はその後に下がる確率が高く、安い時はその後に上がる確率が高い、と言いかえることができるでしょう。権利落ち後も、それに忠実であればよいのです。
ただし、その会社の実体相応に株価が安いだけの場合は、値上がりする確率は低いでしょう。その会社の実体相応以上に安い場合のみ、これが当てはまります。そしてその会社の「実体」を見極めることが、投資家の技術だともいえます。