働き方が多様化するなか、会社勤めからフリーランスへと独立したいと考えている人や、実際に独立したという人もいるのではないでしょうか。しかし世帯主がフリーランスの場合、万が一のときのために対策をしておかないと、遺族の生活が脅かされる場合があるといいます。35歳のフリーライターAさんの例とともに、FP事務所MoneySmith代表の吉野裕一氏が解説します。
月収33万円・35歳フリーライターの夫、逝去…「遺族年金支給額」をみた妻、子2人抱えた今後の生活に暗雲【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「賃貸」に住んでいる場合は要注意

また、フリーランスの方が亡くなった場合、居住環境の違いで以後必要なお金が変わってきます。

 

仮にマイホームを購入し住宅ローンを払っているとなると、ほとんどの場合「団体信用生命保険」に加入していると考えられます。「団体信用生命保険」とは、住宅ローンを組む際に契約する、「仮にローンを払っている人が亡くなったときは住宅ローンの残債と相殺する」という旨の生命保険です。夫が亡くなったあとは住宅ローンの支払いがなくなりますから、住むところへの心配はないのかもしれません。しかし、もし賃貸に住んでいた場合、賃料はかかり続けますので、住まいの費用も考えておかなくてはいけません。

 

民間保険で不足分への備えを

会社員より公的保障の少ないフリーランスの人の場合、遺族年金も少なくなります。そのため、住居費用が必要な場合は、民間の保険で不足分の準備をしておくことをおすすめします。夫が亡くなったあとに妻がすぐに働きに出られれば、保障額は少なくていいかもしれませんが、子どもが小さいときは、フルタイムで働くことが難しいケースも少なくありません。

 

A家の場合は、「収入保障保険」という毎月一定の保険金が支払われる保険に加入しておくことで、収入の減少という不安も解消できます。特に、子どもが大学卒業するまでのことは考えておくと安心です。A家の生活費が月に25万円だった場合、末子が大学を卒業するまで毎月15万円の保険金が支払われる契約を行っておくことで、世帯主が生きていたころと同じ水準の生活を続けることができます。

 

以上、世帯主がフリーランスだった場合に注意すべきことを考えてみました。フリーランスに限らず、自営業者など第1号被保険者の場合、公的な保障は少なくなります。万が一のことを考え、保障の準備をしておきましょう。

 

 

 

吉野 裕一

FP事務所MoneySmith

代表