内閣府の調査によると、母子世帯のうち貯蓄が「ない」と答えた世帯は31.8%。一方、「ある」と答えた母子世帯の平均貯蓄額は「約389万円」となっており、シングルマザー(母子家庭)の生活の困窮は喫緊の課題です。本記事ではこのような家庭を救う「児童扶養手当」について、手取り月19万円のシングルマザーAさんの事例とともに社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。
手取り月19万円の40代・シングルマザー「元夫からの養育費ゼロ」の絶望…危機から救う「児童扶養手当」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

シングルマザー(母子家庭)の収入は厳しい

2021(令和3)年度「全国ひとり親世帯等調査結果の概要」によると、母子家庭の世帯は119.5万世帯。母自身の平均年間収入は272万円、世帯全員の平均年間収入は373万円となっています。

 

一方、2021(令和3)年度「国民生活基礎調査の概況」をみると、児童のいる世帯の1世帯あたり平均所得金額は813万5,000円となっており、これを100として比較すると母子家庭の収入は45.9と、全体の半分にも満たないことがわかります。母子家庭の月収を23万円(272万円÷12ヵ月)とすると、手取りは約19万円です。母子家庭の消費支出は 19万6,379 円ですから、月収のみで生活しようとすると、なかなか貯蓄まで回らない厳しい結果となっています。

※ 2019年全国家計構造調査「家計収支に関する結果」より

深刻化する「子どもの貧困」…ぜひ活用したい「公的扶助」

シングルマザーとは、パートナーとの死別や離婚、非婚等により、子がいながら配偶者のいない女性のことをいいます。特に子どもが小さい場合、正社員で働きたくても働けない状況にあることも多く、また、子育てとの両立のなかで自身の体調が優れず、働くこと自体が難しい状況にある人もいます。

 

経済的に頼れる人が近くにおらず、生活が困窮しているケースも少なくありません。日本においても、親の収入が少ないために十分な教育を受けられなかったり、結果として進学や就職のチャンスに恵まれず、子どもも十分な収入を得られない「子どもの貧困問題」が現実として存在しています。

 

このような場合、シングルマザー(母子家庭)が生活費の支援として受けられる、国による援助や「公的扶助(手当)」があります。なかでも代表的なものが、「児童扶養手当」です。「児童扶養手当」とは、父母の離婚・非婚等で、父または母と生計を同じくしていない児童が育成される家庭(ひとり親)の生活の安定と自立の促進に寄与し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当です。児童扶養手当の支給を受けることで、医療費助成や修学援助、上下水道料金の減免などの援助を受けることもできます。

 

子どもが小さい時期を乗り越えるには、こういった公的な援助・扶助・手当などに頼ることも必要です。以下では、「貯蓄0(ゼロ)からの再出発」をした40歳のAさんの事例をもとに、お金を楽しく賢く貯めるコツをみていきましょう。