未婚化率と高齢化率の上昇により増加している、一人暮らしの高齢者。あえて結婚しないという選択をする人も増え、今後、ますます増えていくと考えられます。一生、悠々自適と羨ましい反面、残酷なリスクに直面する人も。みていきましょう。
楽しないで働け!平均年収680万円「専業主婦世帯」炎上…優遇制度の見直しは進むか? (※写真はイメージです/PIXTA)

専業主婦世帯への批判の元となる「第3号被保険者制度」

――優遇されすぎ

――時代は変わったのに、なぜ廃止にならない

――あまりに不公平

 

ネット上に広がる、専業主婦に向けられた辛辣な言葉。批判の元となっているのは、「第3号被保険者制度」という年金制度。

 

そもそも現在の日本の公的年金制度は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の2階建て。さらに3階部分として、企業が任意で設立し社員が加入する企業年金や、国民年金の第1号被保険者が任意で加入できる国民年金基金などがあります。

 

20歳以降の働き方によって、加入する年金や保険料が変わり、自営業者や学生、無職であれば「第1号被保険者」となり、加入するのは国民年金のみ。会社員や公務員は「第2号被保険者」で、国民年金と厚生年金に加入。専業主婦(夫)などは「第3号被保険者」で加入するのは国民年金のみとなります。

 

そして批判の対象となっているのが、保険料。第3号被保険者は、自ら保険料を納める必要はなく、その費用は第3号被保険者の配偶者が加入する厚生年金から拠出されるとされています。

 

自ら納付していなくても納付扱いとなり、将来、基礎年金が受給できるわけですから、共働き世帯や独身男女、自営業の妻などから、「第3号被保険者だけがズルい」という声があがるのも仕方がないことかもしれません。ただし昔は批判の声も小さいものでした。

 

「第3号被保険者制度」ができた1986年、共働き世帯720万世帯に対して、専業主婦世帯は952万世帯と、「優遇してくれてありがとう!」という声が圧倒的に大きいものでした。世帯数が逆転したのは90年代後半。徐々に共働き世帯は増え、徐々に専業主婦世帯は減っていきましたが、その差はいまほど大きなものではなかったのです。

 

それが2010年代に入ると、大きく共働き世帯は増え、専業主婦世帯は減りました。2021年には共働き世帯は1,247万世帯、専業主婦は566万世帯と、共働き世帯が専業主婦世帯の倍以上となったのです(総務省『労働力調査特別調査』『労働力調査』より)。そうなると批判の声は一段と大きいものに。制度への批判は、なぜか専業主婦、そのものに向かっているものもあり、議論は白熱するばかりです。