「中小企業」の7割は賃上げ予定なし
わたしたちの生活が苦しいのは「物価高」だけが原因ではなく、色々と報道されている通り、「給与が上がらない」から。
厚生労働省『毎月勤労統計調査』の最新、2022年11月の速報値によると、現金給与総額は一般労働者で36万8,358円、前年比0.2%上昇、パートタイマーは10万1,888円で前年比2.2%の上昇。一方、物価上昇を加味した実質賃金は前年比-3.8%。物価上昇に賃金上昇がまったく追いついていない状況です。
【実質賃金の推移】
2021年11月:88.7(0.1 %)
2021年12月:171.2(▲1.3%)
2022年1月:86.0(0.5 %)
2022年2月:83.8(0.0 %)
2022年3月:89.5(0.6 %)
2022年4月:87.1(▲1.7%)
2022年5月:85.2(▲1.8%)
2022年6月:139.0(▲0.6%)
2022年7月:115.0(▲1.8%)
2022年8月:85.1(▲1.7%)
2022年9月:83.7(▲1.2%)
2022年10月:82.8(▲2.9%)
2022年11月(速報値):85.3(▲3.8%)
出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』より
※数値は左より、2020年平均を100とした際の現金給与総額、(かっこ)内前年比
経団連は、急激な物価高騰のなか大手企業が賃上げをすることは社会的義務と明記。一方で、連合が要求する「5%程度の賃上げ」については「慎重な検討が必要」と、否定的な姿勢を示しました。大手企業は概ね賃金アップの流れにあるものの、物価上昇率を上回るものになるか、注目が集まっています。
しかしこれは、あくまでも大企業の話。日本において大企業は数にして1%以下、従業員数にして30%程度。日本の会社員、圧倒的に多いのは中小企業です。
先日、城南信用金庫は顧客企業への調査結果を公表。今後の賃上げについて「予定なし」が7割を超えたといいます。東京都や神奈川県の738社から回答を得たもので、これが中小企業の現状だということができるでしょう。大企業の賃上げの流れに、中小企業は完全に乗り切れていないことが浮き彫りになりました。
大企業勤務のサラリーマン(平均年齢42.0歳)の平均給与(所定内給与額)は月39.4万円、年収は684.3万円。一方、中小企業は月30.9万円、年収466.2万円。月収では9万円、年収では200万円以上の給与差があります*。
*厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より。男性・正社員、大企業=従業員1,000人以上の事業所、中小企業=従業員10~99人の事業所
もともと大きな給与差がありましたが、今後あるであろう賃上げで、この格差はさらに拡大するものと考えられます。
物価はあがるが、給与はあがらず……中小企業勤務のサラリーマン、受難はこれからも続きます。