少ない資金からでも大きな利益を狙うことができるFXですが、さまざまなトレーダーが余剰資金で取引することを推奨しています。単純に考えると、資金を借りて投資資金を増やせば得られる利益も増える可能性が高まりますが、株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏は、借入金で行うFXのリスクを強く指摘しています。一体なぜFXは余剰資金で取引しなければならないのでしょうか。みていきます。
「借金」を元手に「FX」を始めたトレーダーの悲惨な末路【プロが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

FXは高い収益率を目指せるが…その裏側とは?

FXは、積み立て投資や配当金投資よりも高い収益を目指すことができます。レバレッジのかけ方によっては、月利200%以上の収益率を目指すこともできます。しかし、単純に収益だけを追いかけていると取り返しのつかない事態に陥ることがあります。

 

高い収益を得ることができるということは、逆にその収益分以上の損失を招く可能性があるということです。たとえば、月利10%を達成するトレードをしている人は、常に月10%の損失を被る可能性があるということです。プロのトレーダーは、この事実をしっかりと認識して、日頃のリスクマネジメントに漏れがないように常に注意を払っています。対して、初心者トレーダーであればあるほど、得られる利益にばかり執着して、自分が負っているリスクを軽視しがちです。ほかの投資よりも資産変動のリスクが高いFXを行う以上、自分が受け入れているリスクを把握するべきでしょう。

借金を元手にFXを行ってしまった初心者トレーダー

なぜ、余剰資金以外の資金を使ってFXを行うことは推奨されていないのでしょうか。その答えは「私情を挟んだトレードをしてしまうから」です。「私情」は合理的判断力を鈍らせる作用があるので、FXでトレードする際は必ずわけて考えなければなりません。

 

借金をした資金でFXを始めた初心者トレーダーを例に取ってみましょう。余剰資金でFXを始めた人と比べて、借金を元手にしたトレーダーはFXを始めた時点で崖っぷちに立たされています。彼らは日頃の生活費や借入金の返済にかかる費用もFXで賄おうとしているので、1回1回のトレードで大きく負けることはできません。

 

FXは負けずに勝ち続けることは不可能に近いので、どこかのトレードで損切りすることになります。しかし、余剰資金以外でFXをしているトレーダーからすると、自分の資金が少しでも減ることに大きなストレスを感じてしまいます。その結果、素直に損失を認められないまま塩漬けにして保有し続けるトレードがクセになり、いずれ大きな損失が現実化してしまいます。