甘い見通しは厳禁…給与の内訳、人事制度の把握を
厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」によれば、役職別の平均月額給与は[図表4]の通りです。
係長から課長に昇進すると、賃金は10万円近く上昇します。しかし管理職になると残業手当などの各種手当などがなくなり、月の給与が下がってしまうケースがあるのです。
自身の給与がどのように構成されているか内訳を把握し、昇進した場合給与がどのように変化するか見通しを立てておくことが重要です。
自社の「人事制度」や「役職定年制度」の把握も忘れずに
「役職定年制度」とは、部長や課長などの役職者が、ある一定の年齢を超えるとその役職から外される制度のことです。「管理職定年制度」とも呼ばれ、すべての企業で採用されているわけではありませんが、規模の大きな企業ほど導入している傾向にあります。
2017年の人事院の報告によれば、従業員500人以上の企業のうち約3割が導入しており、国家公務員も2023年(令和5年)から役職定年制度の導入が決まっています。
このような役職定年を迎える人にとって大きなデメリットとなるのが、給料の減額です。「基本給」「賞与」「管理職手当」などで減額を受け、元の年収より2割程度少なくなることが多いといわれています。
ご自身が何歳まで役職でいられるのか、役職定年後の年収はどうなるのか、いまのうちに把握しておくことをおすすめします。
進む晩婚化…「老後資金準備」に黄信号
また、日本ではいま、女性の社会進出や経済的な不安などさまざまな背景から、男女ともに年々晩婚化が進み、それに伴い「晩産化」も進んでいます。
厚生労働省の人口動態統計によると、1995年(平成7年)に生まれた赤ちゃんは「118万7,064人」で、そのうち35歳以上の母親の割合は「約9.5%」、40歳以上が「約1.1%」でした。一方、2020年(令和2年)に生まれた赤ちゃんは「84万832人」。そのうち母親が35歳以上の割合は「約29.2%」、40歳以上は「約5.9%」と、25年前と比べると、35歳以上の割合が20ポイント近く上昇していることがわかります。
60歳で定年退職する場合、40歳で結婚したら、定年までに夫婦で貯金できるのはわずか20年です。子供が大学を卒業するまでの22年を考えると、ご自身の定年後まで子供のために大きな出費が続くことになります。
晩婚の場合、世帯収入が高かったり、夫婦合わせてある程度の貯金があるケースもありますが、老後資金の準備期間が限られてしまっている状況を理解し、夫婦で計画的に準備していくことが必要です。