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開業医の多くは高収入である一方、勤務医や通常の会社員等とは異なり退職金等がありません。そのため、リタイア後の対策をしていない場合、現役時代の派手な生活水準を落とせずに最悪の場合「老後破産」となる可能性もあると、牧野FP事務所の代表、牧野寿和CFPはいいます。そこで今回、開業医が保険を使って「退職金1億円」を準備する方法について、牧野CFPが年代別に解説します。

なぜ、あえて「保険商品」を利用するのか

保険商品には、預貯金と同様に貯蓄の機能があります。それに加えて、保障の機能もあります。つまり、極端な例ですが、死亡保険に契約した翌日に、被保険者(保険の対象者)が亡くなったら、契約した保険金が遺族などに支給されます。

 

保険商品を利用する理由は、この貯蓄と保障の両方の機能で、開業中の万が一に備え、また退職金を確保するためです。

 

[図表1]商品性のイメージ:貯蓄は三角、保険は四角(筆者作成)
[図表1]商品性のイメージ:貯蓄は三角、保険は四角(筆者作成)

 

なお、単に金融商品を運用して資産を増やすなら、株式や投資信託で運用したほうが収益は上がりやすいでしょう。なぜなら、少なくとも保険の保障機能にかかる費用も投資にまわせるからです。

 

「返済率」から利用する保険商品を決める

数ある保険商品のなかから、目的に合った保険を探すのは至難の業です。そこで、保険商品ごとの返戻率に注目します。

 

返戻率とは、支払った保険料総額に対して、受取る保険金や解約返戻金の割合のことです。たとえば、100万円保険料を支払って110万円の解約返戻金を受取れば、返戻率は110%です。

 

その「返戻率」が比較的高いといわれているのは、「終身保険」と「個人年金保険」です。そこで、「終身保険」と「個人年金保険」から保険商品を探すことにします。

「終身保険」で保険商品を選ぶ条件

「終身保険」は、保障が生きている間続く死亡保険です。解約すれば保障は終わりますが、契約時に決まっている利率(返戻率)で、解約返戻金を受取ることができる保険商品です。

 

終身保険を選ぶ「4つの条件」

①65歳ころに解約返戻金の返戻率が一番高額になる

 

②「日本円建て」、「外国の通貨建て」にはこだわらない(ただし、為替変動や地政学的なリスクを考慮する)

 

③変額保険(※)は、運用実績が把握できファンド構成比の見直しが容易

※変額保険とは、「特別勘定(国内や海外の株式や債券等により運用されるファンド)」により資産運用を行い、その運用実績によって保険金や返戻率なども変動する保険

 

④「外貨建て変額終身保険」といった、複雑で保障内容を契約者が理解できない商品には加入しない

 

変額終身保険の場合の死亡保険金は、特別勘定の運用実績に関わらず定額で、さらに実績が上がっていれば、その分上乗せされて支給されます。

 

しかし、解約返戻金は定額の定めはなく、すべて運用実績次第の保険会社が多いです。従って、変額終身保険の場合は定期的に、特別勘定部分(運用ファンドの構成比率)の見直しが必要になります。

「個人年金保険」で保険商品を選ぶ条件

「個人年金保険」は、一定の期間積立て、契約時に定めた年齢から年金を受取ります。受取る期間は、一定の期間や生涯とさまざまです。

 

また、商品によっては積立期間終了後に、5年程度据置いたほうが、年金総受給額が多くなります。

 

従って、返戻率から、60歳まで積立て、5年間据置いて65歳から10年間の確定年金で200万~300万円受取り、総額が2,000~3,000万円になるような保険商品を選ぶことにします。

 

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本記事は、「医療と生きる人々が、生の情報で繋がる」をコンセプトにシャープファイナンス株式会社が運営する医療プラットフォーム『Medical LIVES』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。