不整脈の「奇形」を患っていた40代女性Aさん
今回ご紹介するのは、生まれつき「エプシュタイン奇形」を患っていた40代女性患者Aさんの事例です。
「エプシュタイン奇形」とは、右心房と右心室のあいだにある三尖弁(さんせんべん)の位置が右室腔側に落ち込んだ状態のことをいいます。いってみれば、右心房の一部が大きくなって、右心室のなかに埋もれているような奇形です。
エプシュタイン奇形の方は、不整脈を合併する確率が高いのに加え、治療部位が奇形を起こしているため、「カテーテルアブレーション」による治療の難易度が上がるとされています。
治療難易度が高い理由は、「心外膜」という厚い肉の外側を不整脈の電動路が通っていることがあるためです。また、Aさんは「WPW症候群(生まれつき、心房と心室のあいだに電気刺激を伝える余分な伝導路が存在する病気)」も合併していました。
Aさんは、月に3・4回起きる発作のたびに心拍数が200程度まで上がり、長いと半日~1日程度この状態が続いていたそうです。そのたびに病院へ行くか、自宅で休むかしか方法はなく、仕事をするのも難しい状況。
どこにいてもこの発作が起きるかもしれないという不安は、計り知れない辛さだったと推察します。
「成功率97%の手術」が2度失敗…諦めず病院を探したAさん
この患者さんは、5年前に大病院で「成功率97%」といわれながらカテーテルアブレーション治療を受けたものの失敗。さらに、3年後同じ病院での再手術も失敗に終わりました。
当時の担当医には、「治療場所が難しすぎてカテーテルアブレーション治療では限界がある。一生発作に付き合うか、あるいは、外科手術しか方法はない」と、言われたそうです。
「外科手術は怖いけれど、発作が頻回なのは辛い」と、Aさんは懸命にカテーテルアブレーション治療を行っている病院を探しました。そしてたまたま筆者のクリニックをお知りになり、来院されたようです。
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