総務省『令和4年地方公務員給与実態調査結果等』が発表され、最新の地方公務員の給与事情が明らかになりました。今回は政令指定都市を除いた、1,723の市区町村についてみていきます。
1,723市区町村「公務員の平均給与」最新ランキング…トップと最下位に広がる「驚愕の年収差」 (※写真はイメージです/PIXTA)

地方公務員と国家公務員の給与水準を比較する「ラスパイレス指数」のカラクリ

地方公務員の給与を語る際に重要なのが、地方公務員と国家公務員の給料水準を、国家公務員の職員構成を基準として、学歴別、経験年数別に月の平均給料を比較し、国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の給料水準を指数で示したラスパイレス指数。ラスパイレス指数が100を超えるほど地方公務員の給料水準は高く、100を下回るほど地方公務員の給料水準は低くなります。

 

1,723の市区町村のなかでみていくと、最も高いのが「千葉県八千代市」で103.4。続く「埼玉県越谷市」は103.0。一方で最も低いのが、先ほど出てきた「沖縄県多良間村」で74.3。続く「大分県姫島村」は82.5でした。また100を超えるのは185市区町村。ちょうど100が13市町ありました。

 

地方公務員の給与は各自治体で議会の承認を得て自主的に決定するものです。ただ国としては、あまりの乖離は好ましくないとして、ラスパイレス指数が100以上の自治体に対して、給与水準を下げるように勧告しています。

 

実際、東日本大震災の時、国家公務員の給与は2年間削減となりましたが、同様に、地方にも給与カットを求めています。具体的には、国は平均7.8%の給与減を求め、その額に相当する地方交付税の削減を決定。結果的に全国の地方公務員の給与カットが実施されたのです。

 

そんな基準となるラスパイレス指数ですが、その算出方法に問題があるという指摘も。それは国家公務員と地方公務員で算定根拠が異なるということ。地方公務員の場合、すべての職員が対象なのに対し、国家公務員の場合は、一定以上の幹部は除外して算定しています。つまり国家公務員の給与水準は実際よりも低くみえているといえるのです。

 

さまざまな思惑のうえ、そのような算定方法になっていると考えられますが、単純にラスパレス指数の高い/低いだけで、地方公務員の平均給与は語れないということです。また地域によって生活水準なども異なるので、地域間の単純な比較も難しいでしょう。評価できるのは、その地域に住む住民だけなのかもしれません。