2022年の年末、世間を賑わせた金利引き上げのニュース。住宅ローン利用者は返済プランの変更など、対応に迫られました。しかし金利引き上げと同じように心配されることがあると専門家は警報を鳴らしています。みていきましょう。
平均月収36万円・40代会社員…70歳で完済予定の「住宅ローン3,000万円」に戦々恐々 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンの固定金利引き上げ「ほとんど影響はない」といわれるが…

ライフステージに合わせて、自由に住まいを変えられるから……そのような理由で賃貸派が増えているといわれていますが、それでもなお、日本人の持ち家率は6割を超えています。「いつかは自分の家を」というのは、多くの人の夢だといえるでしょう。

 

そんなマイホームを夢見る人、さらには実現させた人は、2022年年末、日銀の黒田東彦総裁が長期金利の上限をこれまでの0.25%から0.50%へと引き上げるとしたニュースに大きな不安を抱えたことでしょう。かたくなに金利引き上げを拒否してきた日銀が、政策の修正に踏み切ったのですから、とてつもなく大きなインパクトでした。黒田総裁は「利上げではない」と協調するも、市場関係者は「事実上の利上げ」と受け止めています。

 

これにより、大手銀行は次々と固定金利の引き上げを発表。引き上げ幅は0.1~0.2%程度とされていますが、されど0.1%。ローン利用者にとっては大きな差です。仮に4,000万円を30年ローンで借りていたとしたら。金利1%であれば、最終的な利息分は631万5,920円。それが1.1%になったら678万1,272円。その差額は46万5,352円。30年で45万円強、1年では1万5,000円ほど。これをわずかな誤差と考えられるほど、多くの日本人に余裕はないでしょう。

 

——住宅ローン利用者の8割は変動金利だから、影響を受ける人はそんなにいない

 

そういう主張もありますが、住宅購入者の8割が住宅ローンを利用しているといわれ、その2割が固定金利を選択しているということ。新設の住宅が年間80万戸といわれているので、すべて売れたとしたら、12万世帯強が固定金利を選択している、という計算になります。さらに住宅ローンの支払いをしている人も含めると、固定金利を選択している人は相当数いることになります。割合で論じれば少数派で影響は少ないといえますが、数にしてみると影響を受ける人は大勢いることがわかります。